◎この動画にはオブラドール大統領の側近が大統領選直前と大統領就任後に麻薬カルテルから現金を受け取ったと主張する米ニューヨーク・タイムズ記者の電話番号が映っていた。
メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は26日、自身のユーチューブアカウントに投稿した動画が削除されたことを嘆き、怒りを爆発させた。
この動画にはオブラドール氏の側近が大統領選直前と大統領就任後に麻薬カルテルから現金を受け取ったと主張する米ニューヨーク・タイムズ記者の電話番号が映っていた。
オブラドール氏は定例会見で「ユーチューブが保守派に乗っ取られた」と主張。動画削除を「検閲」と呼び、ユーチューブとその親会社であるグーグル、アルファベットを厳しく非難した。
オブラドール氏のチャンネル登録者数は約420万人。同氏はそれを利用してメディアや有権者の質問を積極的に受け付けている。
米人権団体フリーダムハウスはオブラドール氏が動画の中でタイムズ記者の電話番号を公開したことについて、「極めて危険な行為であり、記者の命を危険にさらす可能性がある」と指摘していた。
オブラドール氏は側近が麻薬カルテルから現金を受け取ったというタイムズの報道に反発し、記者の電話番号を世界に発信した。
タイムズ記者は記事を掲載する前にオブラドール氏の報道官に書簡を送り、コメントを求めていた。
オブラドール氏は22日の会見でその書簡を大型スクリーンに映し出し、記者の電話番号も合わせて公開した。
ユーチューブは声明で、「当社のポリシーは電話番号を含む個人を特定できる情報を明らかにするコンテンツを厳しく禁じています。検討の結果、このポリシーに違反する動画を削除しました」と述べている。
メキシコの個人情報保護法は、「政府は個人のプライバシーを保証する」とし、「個人情報の不適切な使用、持ち出し、公開、隠匿、改ざん、破壊(その全部または一部)」に対する処罰を定めている。
オブラドール氏は23日の会見で、「個人情報保護法は大統領には適用されない」と主張していた。