◎死者17人のうち10人は看守。7人は受刑者と報じられている。
2023年1月1日/メキシコ、北部チワワ州シウダー・フアレスの刑務所、州兵と州警察(Christian Chavez/AP通信)

メキシコ当局は2日、北部チワワ州シウダー・フアレスにある刑務所が武装集団の攻撃を受けた事件について、これまでに17人の死亡を確認したと発表した。

シウダー・フアレスは米テキサス州と国境を接し、メキシコで最も治安の悪い都市のひとつとされ、麻薬組織「シナロアカルテル(Sinaloa Cartel)」の支援を受けるギャングなど、複数の武装集団が支配権を争っている。

チワワ州政府によると、武装集団は州立刑務所を1日の現地時間午前7時頃に襲撃し、銃を乱射。この攻撃で少なくとも17人が死亡、10人以上が負傷し、受刑者少なくとも25人が脱走した。

死者17人のうち10人は看守。7人は受刑者と報じられている。

地元メディアは警察筋の話を引用し、「脱走した25人の中にはシウダー・フアレスの主要ギャングのリーダーが含まれる」と報じた。

報道によると、この男はシナロアカルテルと協定を結んでいる可能性があるという。

陸軍と州警察は1日遅くに刑務所の安全を確保した。武装集団がどうなったかは明らかになっていない。

国防省の報道官は声明で、「兵士たちは刑務所内にテレビやその他の設備を備えたVIP房を発見した」と述べている。そのうちのひとつには金庫まであり、現金が山ほど入っていたという。

さらに兵士たちは刑務所内でコカイン、メタンフェタミン、ヘロイン、フェンタニル、大麻を押収した。

国防省報道官は刑務所襲撃事件の直前に市警本部が襲撃を受け、ギャング4人が逮捕、2人が射殺された事件について、「刑務所襲撃の対応を遅らせる陽動作戦の可能性が高い」と説明した。

米国と国境を接する町は麻薬カルテルが最重要視するエリアのひとつであり、チワワ州シウダー・フアレスはその中でも特に治安が悪いとされる。

昨年8月には同州の別の刑務所で暴動が広がり、11人が死亡。さらに、シウダー・フアレス郊外の路上でギャングとみられる男たちが銃を乱射し、ラジオ局の職員4人を含む少なくとも9人を殺害した。

メキシコの刑務所では暴力事件が多発している。特にシウダー・フアレスのような治安の悪い町では麻薬カルテルの「代理人」としての役割を担っているギャングの抗争が頻発し、その影響は刑務所にも及ぶ。

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