◎罪状認否手続きは5月10日に行われる予定。
米国に送還されたホンジュラスの前大統領であるフアン・オルランド・エルナンデス容疑者は22日、ニューヨークの地方裁判所に出廷した。
AFP通信によると、エルナンデスはオンラインで初出廷したという。弁護団は保釈を要求しなかったが、後日要求する予定と伝えられている。
エルナンデスの罪状認否手続きは5月10日に行われる予定。
エルナンデスの身柄は21日午後、ホンジュラスの首都テグシガルパの空軍基地で米麻薬取締局(DEA)に引き渡された。
同日、当局はエルナンデスに対する起訴状を公開し、「米国に数十万キロのコカインを密輸するという暴力的な麻薬取引とそれに関連する陰謀に関与した」として非難された。
エルナンデスは大統領に就任する前の2004年から、主にコロンビアとベネズエラ経由で米国に約500トンのコカインを密輸したとして告発されている。
またNY検察は、「容疑者はメキシコの麻薬王ホアキン・グスマンから約100万ドル、その他の複数の麻薬密売組織から数百万ドルの賄賂を受け取った」と主張している。
しかし、3カ月前に退任したばかりの容疑者は告発をすべて否定し、無実を主張している。エルナンデスはホンジュラス初の女性大統領シオマラ・カストロ氏の就任後まもなく、訴追免責を失った。
また最高裁は先月末、エルナンデスの身柄引き渡し停止を求める訴えを退け、NY裁判の道を切り開いた。カストロ大統領は汚職の撲滅を公約のひとつに掲げている。
米司法省は21日の声明で、「エルナンデス氏はホンジュラスの国民が貧困と暴力に耐えている間、コカイン密輸を後押しすることで数百万ドルを手にし、豊かな生活を享受し、政治運動の資金を調達し、有権者を裏切り、不正行為に手を染めた」と述べている。
検察はエルナンデスを3件の薬物および武器犯罪関連容疑で告発している。有罪が確定すれば、数十年の禁固刑を言い渡される可能性がある。
NY州南部地区の弁護士であるウィリアムズ氏(検察側)は21日の記者会見で、「エルナンデスはホンジュラスの暴力に拍車をかけた汚職と大規模なコカイン取引に関与している」と述べた。「エルナンデスが金と政治的影響力を蓄える一方で、ホンジュラスの国民は貧困と暴力に耐えてきました」
エルナンデスは疑惑を否定しており、21日に公開したビデオメッセージの中で、「私は無実であり、不当な扱いを受け、起訴されようとしている」と語った。