◎地元メディアはエルナンデス容疑者がテグシガルパの警察署から空軍基地まで移送される様子を生中継した。
2022年4月21日/ホンジュラス、首都テグシガルパの空軍基地、エルナンデス容疑者(中央)(Elmer Martinez/AP通信)

ホンジュラス政府は21日、麻薬密売などの容疑で逮捕されたエルナンデス前大統領の身柄を米国に引き渡した。

退任からわずか3カ月後、手錠をかけられたエルナンデス容疑者は米麻薬取締局の捜査官とともに飛行機に乗り込んだ。

ガーランド米司法長官は、「エルナンデス容疑者は2014年から2022年まで大統領としての地位を乱用し、ホンジュラスを麻薬国家にした」と述べている。

同国の最高裁は先月末、エルナンデス容疑者の身柄引き渡し停止を求める訴えを退けた。容疑者は退任後まもなく、首都テグシガルパの自宅で逮捕された。

ニューヨーク南部地区裁判所はエルナンデス容疑者を麻薬密売計画などに関与した容疑で告発している。容疑者は550トン以上のコカインを米国に密輸する「麻薬密売の陰謀」などに関与したとされる。

AP通信などによると、エルナンデス容疑者は「米国への規制薬物輸入への関与」「機関銃を含む銃器の使用または携帯」「銃器の使用または携帯の共謀」の罪で起訴される予定。

しかし、エルナンデス容疑者はこれらの容疑をすべて否定している。容疑者は弁護士が21日に公開したビデオメッセージの中で、「私は無実である」とあらためて訴えた。

ホンジュラス国家警察の元長官であるカナレス氏はAP通信の取材に対し、「今回の身柄引き渡しはホンジュラスにとって恥ずべきことだが、同時に歴史的な日でもある」と語った。

エルナンデス容疑者に対する疑惑の大半は、NYで行われた2つの裁判、容疑者の弟で元ホンジュラス議員ともうひとりの被告の裁判で明らかになった。

2人は麻薬密売に深く関与したとして、ともに終身刑を言い渡されている。検察はエルナンデス容疑者を同事件の「共謀者」と位置づけた。

今年1月に就任したカストロ大統領は汚職の根絶を公約に掲げており、エルナンデス容疑者の身柄引き渡しを認めている。

一方、ホンジュラスの最裁所は20日、「タイガー」と呼ばれている元国家警察長官バジャダレス被告の上告を棄却した。被告はエルナンデス容疑者と同様の容疑で今後数週間のうちに米検察当局に引き渡される予定である。

地元メディアはエルナンデス容疑者がテグシガルパの警察署から空軍基地まで移送される様子を生中継した。

空軍基地の外には多くの野次馬が集まり、容疑者を乗せた飛行機が離陸すると歓声が沸き起こった。

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