◎今回の集団亡命はこの1年で最大規模とみられる。
キューバの国営メディアは25日、ハイチ移民800人以上を乗せたボートがビジャクララの浜に打ち上げられたと報じた。
ビジャクララの赤十字社によると、ボートに乗っていたハイチ人842人は同市内のキャンプ場に収容されたという。
ハイチは昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件以来、暴力が急増し、政府と対立するギャングが首都ポルトープランス近郊まで勢力圏を広げ、各地でギャング間抗争が相次いでいる。
AP通信によると、今回の集団亡命はこの1年で最大規模とみられるという。
ビジャクララの赤十字社は子供70人と女性97人を含む842人の多くが応急処置を受けたと報告している。
米国への移住を希望する男性はAP通信の取材に対し、「先週土曜日にボートに乗るまで、2ヶ月間出発を待っていた」と語った。
男性によると、乗船した15人が空腹に耐えきれず海に身を投げたという。「船長は別の小舟でどこかに行ってしまいました...」
赤ちゃんと乗船した夫婦によると、船長は24日未明に小舟でどこかに行ってしまったという。夫妻は、「船は傾きかけていたので、懐中電灯でキューバの海岸にいる人々の注意を引くことにしました」と説明した。
米国沿岸警備隊や他の中米諸国はここ数カ月、100人を優に超えるハイチの移民ボートを何度も拿捕している。
専門家によると、ハイチからキューバにボートが流れ着くことは決して珍しくないという。キューバ共産党は到着した移民の大半をハイチに強制送還している。
この数カ月でハイチから脱出を試みた市民は5000人以上と推定されている。
ハイチの人権活動家によると、亡命を希望する人の大半が、ギャングの暴力が蔓延する町で生活するより危険な船旅を選択するという。
米当局は今週、カリブ海の米管轄区域とその周辺で拘束されたハイチ移民の数が例年の2倍に増加したと報告した。
また米沿岸警備隊は24日、ハイチ人153人を乗せた貨物船をフロリダ沖で拿捕したと報告している。
今月初めにはプエルトリコ沖で移民ボートが転覆し11人が死亡、36人が救助されている。その数日前にはプエルトリコとドミニカ間の危険な海域でハイチ人68人が救助された。
4月には米沿岸警備隊がバハマ付近でハイチ人130人以上を乗せた船を拿捕し、その1カ月前には140人をフロリダ沖で救助した。
AP通信によると、米沿岸警備隊は昨年10月以来、約4500人のハイチ人を捕え、その多くをフロリダ沖で発見したという。3月中旬以降の拘束者は3000人を超えているため、春になって亡命希望者が増えたことを示唆している。
一方、キューバの国営メディアは25日、ハイチ人の集団が国境警備隊に助けを求め、救助されたと報じた。報道によると、救助隊は人々に医療処置を施したという。
ビジャクララの赤十字社はAP通信のインタビューの中で、「人々は3日から5日はそこにとどまり、必要な処置を受けるだろう」と語った。