◎ブケレ政権は3月末以降、少なくとも6,000人のギャングを逮捕し、その多くを不衛生で混雑する刑務所に押し込んだ。
2022年4月6日/エルサルバドル、西部サンタテクラの市街地(Salvador Melendez/AP通信)

エルサルバドルは6日、ギャングのメッセージを共有するメディアに10年以上15年以下の禁固刑を科す刑法を施行した。

エルサルバドル・ジャーナリスト協会は6日の声明で、「この改革はメディアに対する検閲に他ならない」と述べ、政府を非難した。「ギャングに支配された地域の情報を禁じるべきではありません」

米州記者協会も懸念を表明し、「新法はメディアとジャーナリストの仕事を犯罪化することに等しい」と述べた。

エルサルバドルでは先月末頃からギャング関連の殺人事件が多発したため、政府は非常事態を宣言し、刑法を改正した。これにより、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

ブケレ政権は3月末以降、少なくとも6,000人のギャングを逮捕し、その多くを不衛生で混雑する刑務所に押し込んだ。

議会は改正案を賛成多数で可決し、新法は5日夜の官報に掲載され、発効した。

法律は、「ラジオ、テレビ、文書、デジタルメディアは犯罪集団から発信された、あるいは発信されたと推定される住民に不安とパニックを引き起こす可能性のあるメッセージや文言を一般市民に発信または送信した場合、10年から15年の禁固刑を科される可能性がある」としている。

その定義は極めて曖昧だが、ギャングに否定的なメディア報道は取り締まりの対象外だと思われる。

また、ギャングの縄張りを示すためによく使用される落書きをした場合も同様の実刑判決を科されることになった。

急進左派のブケレ大統領はギャング対策に批判的なメディア、非政府組織、国際機関を厳しく非難し、国民もその考えを支持しているように見える。

刑事弁護士のパスター氏はAP通信の取材に対し、「今回の刑法改正はギャングのメッセージを発信するメディアを厳しく取り締まる内容になっているが、その範囲はすべてを包含しているわけではない」と述べた。「ギャングのメッセージを共有すれば逮捕、メディアがギャングを肯定する記事を発信した場合も取り締まりの対象になると思われます...」

エルサルバドル・ジャーナリスト協会の会長は6日の記者会見で、「法律はジャーナリストだけでなく、国民にも影響を与える」と懸を表明した。「SNSでギャングの情報を共有した個人はどうですか?政府はツイッターユーザーをギャングと見なし逮捕するかもしれません」

政府は非常事態宣言の下、結社の自由や弁護人を選任する権利などを制限し、裁判所の許可を得ずに容疑者を拘束している。投獄されたギャングの食事は1日2食に減らされ、下着をはぎ取られ、床で寝ている。

ブケレ大統領は5日のツイートで議会に法案を送ったと述べ、「誰が善良な市民か、誰がギャングかを見極めることになるだろう」と警告していた。

与党議員は刑法改正を絶賛している。ある議員は「エルサルバドルはこれらの改革でギャングに、住民に恐怖を与えるようなメッセージを送ってはいけないと明確に伝えた」とツイートした。

ブケレ大統領は国内最大のギャングが取り締まりの強化に報復するかもしれないという噂に反応し、「ギャングが犯罪の波を解き放つのであれば、刑務所の食料を断つ」と警告している。

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