教皇レオ14世、アンゴラのカトリック聖地で祈り、アフリカ奴隷貿易の拠点
教皇が訪れた「ムシマの聖母教会」は16世紀末、ポルトガルの植民者によって要塞の一部として建設された施設で、奴隷貿易の中継地として機能していた。
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アフリカ歴訪中のローマ教皇レオ14世(Pope Leo XIV)は19日、アンゴラ中部ムシマを訪れ、かつて大西洋奴隷貿易の拠点の一つだったカトリック聖地で祈りを捧げた。この地は信仰の巡礼地であると同時に、植民地時代の過酷な歴史を象徴する場所でもあり、教会と奴隷制の関係を改めて問い直す訪問となった。
教皇が訪れた「ムシマの聖母教会」は16世紀末、ポルトガルの植民者によって要塞の一部として建設された施設で、奴隷貿易の中継地として機能していた。ここでは多くのアフリカ人が強制的に集められ、司祭による洗礼を受けた後、首都ルアンダの港へと歩かされ、アメリカ大陸へ送り出された。アンゴラは奴隷貿易の中心地の一つで、500万人以上がここから大西洋を渡ったと推計されている。
現在、この教会は1833年に聖母出現が報告されたことを契機に巡礼地として発展し、多くの信者が祈りを捧げる場となっている。教皇はロザリオの祈りを行い、現地に集まった数万人の信徒に対し、戦争や不正、貧困のない社会を築く必要性を訴えた。また「この地は喜びと同時に大きな苦しみの歴史を背負ってきた」と述べ、アンゴラの人々の歩みに言及した。
ただし、教皇は演説の中で奴隷制そのものに直接言及することはなかった。この点については、過去に奴隷制への反省を明確に示した歴代教皇と比べ、踏み込みが足りないとの指摘もある。一方で、訪問自体が象徴的な意味を持つと評価する声もあり、黒人カトリック信者にとっては歴史的な癒やしの契機になるとの見方も出ている。
今回の訪問が注目される背景には教皇自身の出自もある。米国出身のレオ14世は家系の中に奴隷と奴隷所有者の双方の祖先を持ち、奴隷制の歴史と個人的にも無縁ではない。この複雑なルーツが今回の祈りの意味をより重層的なものにしている。
アンゴラでは現在も貧困や格差、汚職などの課題が続いている。教皇は今回のアフリカ訪問を通じ、植民地主義や資源搾取の歴史を踏まえつつ、社会正義と和解の必要性を訴えている。奴隷貿易の記憶を宿す聖地での祈りは過去の過ちと向き合いながら、より公正な未来を模索する象徴的な行動と位置付けられている。
