◎これまでに1人の死亡を確認し、128人が負傷、消防士14人の行方が分からず、20人が医療機関に入院した。
キューバ当局は10日、マタンサス州沿岸の石油備蓄基地で発生した火災について、ほぼ鎮火したと発表した。
火災は5日遅くの落雷が引き起こしたと報告されている。落雷によりタンクの1つで火災が発生し、その後、別のタンク2基に延焼したという。1つ目のタンクには容量の50%、2つ目のタンクは満タンだった。
国営テレビは消防当局の話を引用し、「4つ目のタンクの原油はほぼ焼き尽くされ、唯一燃え続けている3つ目のタンク以外は鎮火した」と報じた。
1つ目と2つ目のタンクは全焼した模様。
国営テレビによると、これまでに1人の死亡を確認し、128人が負傷、消防士14人の行方が分からず、20人が医療機関に入院したという。
州政府は基地周辺の住民約4900人に避難を命じている。
西側の専門家はこの火災について、「キューバのエネルギー危機をより複雑にすることは間違いない」と指摘している。
火災が発生する数日前、共産党は首都ハバナで計画停電を実施すると発表していた。
キューバの経済は米国の厳しい経済制裁、コロナウイルス拡大による観光産業の衰退、ロシアのウクライナ侵攻がもたらした燃料・食料価格の高騰で大打撃を受けている。
一部のキューバ人は共産党がこの火災を言い分けに計画停電を正当化すると指摘している。AP通信の取材に応じた首都ハバナの市民は、「政府は自分たちの不作為が招いた計画停電を火災のせいにできる」と語った。
消防の報道官は10日、「3つ目のタンクは2~3日燃え続けるかもしれないが、延焼することはないだろう」と語った。
共産党のディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は地元の消防士とメキシコおよびベネズエラの特別チームに謝意を示す一方、まだ気を緩めるべきではないと警告した。
ディアスカネル氏は「過信は禁物だ」とツイートし、当局に安全第一で消火と監視を続けるよう命じた。
国営電力会社はこの石油備蓄基地からパイプラインで熱電発電所に石油を送り、発電している。またこの基地は輸入原油、燃料油、ディーゼルの荷揚げ・積み上げ基地としての役割も担っている。
当局は被害額を公表していないが、西側の専門家は数億ドルと見積もっている。