◎共産党のラウル・カストロ書記長は16日の党大会の中で、「情熱と反帝国主義の精神に満ちた若い世代にリーダーシップを引き継ぐ」と述べた。
2021年4月16日/キューバ、首都ハバナのコンベンションパレス、ラウル・カストロ書記長(AP通信)

キューバ通信社の報道によると、共産党の指導者、ラウル・カストロ第一書記(89歳)が政界引退を表明したという。

カストロ書記長は16日の党大会の中で、「情熱と反帝国主義の精神に満ちた若い世代にリーダーシップを引き継ぐ」と述べた。「同胞の力、理解、模範的な性質に感謝している」

後継者は党大会後半の投票で決まる。カストロ書記長は後継者候補については言及しなかったが、2018年に大統領に就任したミゲル・ディアス=カネル氏が権力を引き継ぐと地元メディアは報じている。カストロ家以外の者がキューバの指導者に就任するのは約60年振り。

カストロ書記長の兄、故フィデル・カストロ議長は1959年の革命で政権を奪取し、社会主義キューバを確立した。この時、カストロ書記長は故チェ・ゲバラ氏らと共に部隊の指揮官を務めていた。

カストロ書記長は2011年に兄から権力を引き継ぎ、以来、権力を維持してきた。

2015年7月にアメリカとの国交を回復したカストロ書記長は、2016年3月にバラク・オバマ元大統領と会談し、握手を交わした。しかし、両国の関係はドナルド・トランプ前大統領の制裁強化で悪化したままである。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は4月16日の声明で、キューバ政策はバイデン政権の最優先事項のひとつではないと述べたが、ジョー・バイデン大統領は前政権の制裁の見直しを約束しているため、キューバに対しても何かしらのアプローチを見せると期待されている。

カストロ書記長は党大会の中で、「キューバはアメリカとの対話の発展を望むが、外交政策と理想に関しては譲歩しない」と述べた。

1986年2月8日/キューバ、首都ハバナ、フィデル・カストロ議長(当時)とラウル・カストロ大統領(当時)(AP通信/Charles Tasnadi)

キューバの経済はトランプ前大統領の制裁とコロナウイルスの影響で大きく後退し、2020年の経済成長率は前年から11%縮小した。

1月1日に始まった二重通貨システムを統一する通貨改革は、経済と国営企業の経営をより効率的に循環させることを目指していた。しかし、大きく後退した経済はインフレの危機に直面し、貧困ライン以下の生活を余儀なくされている一部の市民の不満も解消されていない。市民はより多くの経済的自由を求めている。

指導部はインターネットやソーシャルメディアへのアクセスの増加に伴うイデオロギーの統一にも苦労している。社会主義に反対する勢力はツイッターやフェイスブックなどを使って反政府抗議を扇動し、若者の注目を集めている。

指導部は党大会の中で、「政府はインターネットとソーシャルメディアによるキューバの統一の破壊に立ち向かう」と宣言した。

キューバの専門家はAP通信の取材に対し、「指導部の体制が変わったとしても、政策が劇的に変化する可能性は低く、変化を期待する市民もほとんどいない」と述べた。

カストロ書記長の後継者と伝えられているディアス=カネル大統領は16日、「今年の党大会では今後の政府の運営とキューバの将来について話し合うことになるだろう」とツイートした。

カストロ書記長は議会に、「(革命に参加した)戦闘機としての役割を引退する」と述べた。「私は生きている限り、祖国、革命、社会主義を守るために命を捧げる覚悟です」

2016年3月21日/キューバ、首都ハバナ、バラク・オバマ大統領(当時)とラウル・カストロ書記長(AP通信/Ramon Espinosa)
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