◎英領バージン諸島はプエルトリコと米領バージン諸島の東に位置するイギリス連邦加盟国のひとつ。
英領バージン諸島(BVI)政府は8日、イギリス政府による直接統治は当面ないと発表した。
BVIはプエルトリコと米領バージン諸島の東に位置するイギリス連邦加盟国のひとつ。人口は約3万5000人。
同国のランキン(John Rankin)総督は声明の中で、「先月同国の調査結果を確認した英政府当局者と自治権を維持することに合意した」と述べている。
イギリスの司法当局が4月に公表した報告書によると、BVI政府は毎年数百万ドルの公的資金を適切な手続きなしに使ったと結論づけた。また、公共財の売却に関する不正取引と、広範な権力の乱用も確認されたという。
さらに、報告書が公表される直前、首相だったファヒー(Andrew Fahie)被告が米フロリダ州マイアミの空港で麻薬取引に関与したとして現行犯逮捕された。
汚職を調査した委員会はBVIの憲法と政府を少なくとも2年間停止するよう当局に勧告したが、ランキン氏は「BVI政府がいくつかの条件を満たす限り、イギリスの直接統治下に置かれることはないだろう」と説明した。
ランキン氏は、「BVIのガバナンスを改善するためには多くの難しい決断が必要であり、ハードワークを求められるだろう」と述べた。
またランキン氏は調査の結果、「汚職、職権乱用、重大な不正など、政府の失敗が数多く確認された」と強調した。
ウィートリー(Natalio Wheatley)暫定首相は8日、「政府は改革に必要な予算を算定できていないが、年度予算はそれに応じて調整されるだろう」と声明を発表した。
BVIの一部有権者や活動家は、来年予定されている総選挙を早めるよう政府に求めている。ウィートリー氏によると、選挙は2023年5月に行われる可能性が高く、日程を早める予定は今のところないという。
マイアミの裁判所は先月、ファヒー被告の保釈を認めた。保釈金は50万ドル。
ファヒー被告は麻薬密売などに関与したとして、米麻薬取締局(DEA)に逮捕された。またDEAは取引に関与したとされるBVIの港湾当局者とその息子も逮捕している。
DEAによると、ファヒー被告はメキシコの麻薬組織シナロアカルテルのメンバーを装ったDEAの潜入捜査官に対し、70万ドルの支払いと引き換えにBVIの港を利用してコカインを輸送することを許可したという。
現職首相が逮捕された翌日、イギリス当局はBVIの汚職疑惑についてまとめた報告書を公表した。
ランキン氏は声明の中で、「不正に関与した者は責任に問われる」と述べている。