◎イギリスのトラス外相は28日、「逮捕に愕然としている」と記者団に語った。
英領ヴァージン諸島のアンドルー・ファヒー首相(Government of the Virgin Islands/BBCニュース)

麻薬取締局(DEA)は28日、英領ヴァージン諸島のアンドルー・ファヒー首相と港湾管理者を麻薬密輸容疑で逮捕した。

DEAはファヒー容疑者と港湾局の管理者であるメイナード容疑者をマイアミ空港(フロリダ州)で逮捕した。

DEAによると、ファヒー容疑者はメキシコの麻薬組織シナロアカルテルのメンバーを装ったDEAのおとり捜査官に対し、70万ドルの支払いと引き換えに英領ヴァージン諸島の港を利用してコカインを輸送することを許可したという。

また容疑者は自分の借金を返済するために、おとり捜査官に追加料金を要求したとされる。

DEA長官は28日付けの声明で、「今回の逮捕は麻薬カルテルとそれに関与する者に明確なメッセージを送る」と述べている。「米国への麻薬密輸に関与した者は、立場に関係なく責任を取らされます」

AP通信などによると、メイナード容疑者の息子も「5kg以上のコカインの密輸」と「マネーロンダリング」で逮捕された。

英エリザベス女王の代理を務めるジョン・ランキン総督もファヒー容疑者の逮捕に関する声明を発表している。

ランキン総督は声明の中で、「私はこの逮捕が国民の皆さんに衝撃を与えることを理解しています」と述べ、平静を保つよう促した。

DEAの潜入捜査官は、シナロアカルテルの密売人のふりをしてファヒー容疑者とメイナード容疑者に接触した。

AP通信は米地方裁判所に提出された訴状を引用し、「DEAは昨年10月に捜査(潜入捜査と思われる)を開始した」と報じた。

イギリスのトラス外相は28日、「逮捕に愕然としている」と記者団に語った。

一方、ランキン総督は特捜刑事マイアミ・バイスについて、「昨年英領ヴァージン諸島で行われた統治と汚職に関する調査とは無関係である」と強調した。

調査委員会がファヒー容疑者とメイナード容疑者を疑っていたかどうかは不明だが、ランキン総督は不必要な憶測を避けるため、「早急に調査結果が公表されることを期待している」と述べた。

イギリスのトラス外相も報告書はまもなく公表されるとしている。

ファヒー容疑者は昨年1月から汚職の疑いで調査の対象になっていた。

パナマ文書の漏洩でマネーロンダリング・アイランドと呼ばれるようになった英領ヴァージン諸島はプエルトリコと米領バージン諸島の東に位置する。人口は約3万5000人。

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