◎国連は長年の慣行により、PKOの受け入れを認めた国にのみ、部隊を派遣する。
2022年1月14日/マリ、首都バマコ、フランスの制裁に抗議するデモ(Getty Images/EPA通信)

国連安全保障理事会は30日、西アフリカ・マリで10年に渡って活動してきた国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)の活動終了を全会一致で採択した。

これにより、イスラム過激派による占領を防ぐために展開されたMINUSMA部隊はマリからただちに撤退することとなった。

この2週間前、マリの外務省はMINUSMAを「失敗」と呼び、安保理を驚かせた。

マリと国連の関係は2020年のクーデターで軍政が誕生して以来、悪化の一途をたどってきた。

軍政を率いるゴイタ(Assimi Goita)大佐は海外メディアや国連職員を国外に追放し、平和維持活動を制限。ロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、過激派掃討作戦を展開している。

米国のデローレンティス(Jeffrey DeLaurentis)次席大使は安保理で、「我々はマリ政権がMINUSMAを追放するという決定を下したこと。そしてこの決定がマリの市民に害をもたらすことを遺憾に思う」と述べた。

またデローレンティス氏は「バイデン政権は撤退に同意する」と強調した。

国連は長年の慣行により、PKOの受け入れを認めた国にのみ、部隊を派遣する。

国連によると、マリやその隣国ブルキナファソを含むサヘル地域における2012年以降の紛争で死亡した市民は数万人と推定され、数百万人が避難生活を余儀なくされている。

MINUSMAの要員は約1万2000人。世界で最も多くの犠牲者を出している国連PKOミッションであり、2013年の創設以来、200人近くがテロ攻撃で死亡している。

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