◎サイード大統領は7月25日に憲法改正の是非を問う国民投票、12月17日に議会選挙を行うと約束している。
2021年9月17日/チュニジア、首都チュニス、カイス・サイード大統領(Getty Images/Pool/AFP通信)

チュニジアのカイス・サイード大統領は30日、国営テレビの演説で議会を解散すると発表した。

サイード大統領は昨年7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、当時のメチチ首相を解任したうえで議会の活動を一時的に停止した。

地元メディアによると、議会は30日にオンラインでサイード大統領の措置に反対する法案を採決し、議員217人中116人が賛成に投じたという。

また議員たちは議会を停止し、サイード大統領に権力を集中させる大統領令の廃止も決議した。

サイード大統領の派閥を含む多くの議員が議会の停止や司法機関の解散を含むサイード大統領の措置を「違憲」「クーデター」と非難している。

サイード大統領は法案が成立した後、国家安全保障会議を開き、議会の解散を宣言した。

アルジャジーラなどによると、暫定政府の法相は司法長官に、「国家の安全を脅かす罪」で停止中の議員に対する司法調査を開始するよう命じたという。

サイード大統領は演説の中で議会のオンライン採決を「クーデター未遂」と呼び、議長はチュニジアを裏切ったと厳しく非難した。

チュニジアは2010年12月のジャスミン革命とその後の抗議デモで民主主義を確立したが、民主勢力の政治はうまく機能せず、不況、高失業率、政治家の暗殺など、数多くの問題に悩まされてきた。

サイード大統領は政治家の汚職や経済の低迷に対する国民の不満と怒りが高まる中、2019年に選出された。野党はサイード大統領の措置をクーデターと非難しているものの、多くの市民が汚職の撲滅を約束し、利権に興味を示さないリベラルなサイード大統領を支持している。

サイード大統領の支持者は、20年以上権力を掌握したベン・アリー追放後も政治システムと経済の行く詰まりを打開できない政府にウンザリしている。

しかし、一部の専門家は、経済を立て直すという理由で独裁体制に戻っても問題は解決せず、悪化する可能性が高いと警告している。

サイード大統領は7月25日に憲法改正の是非を問う国民投票、12月17日に議会選挙を行うと約束している。

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