◎カイス・サイード大統領は今年7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、ヒシェム・メチチ首相の解任と議会の停止に踏み切った。
2021年10月3日/チュニジア、首都チュニスで開催されたカイス・サイード大統領を支持するデモ(Hassene Dridi/AP通信)

10月3日、チュニジアの首都チュニスでカイス・サイード大統領の権力独占を支持する集会が開催され、数千人が参加した。

サイード大統領は7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、ヒシェム・メチチ首相の解任と議会の停止に踏み切った。政府の政策に反対する人々はサイード大統領を称賛したが、与党ナフダ党を含む多くの議員が大統領の動きをクーデターと呼び、厳しく非難した。

チュニスの公共広場に集まった人々は政府の汚職を追及し、関与した者を罰しなければならないと主張した。

現地メディアによると、デモを主催した団体は参加者に、「国民は議会の解散を望んでいる!」と叫び、喝采を浴びたという。

あるグループは「We are KaisSaied(カイス・サイード)」と書かれたシャツを着ていた。別の抗議者は、「サイード大統領は国家元首ではなくひとりのチュニジア国民であり、私たちは彼と並んで民主的なチュニジアを作る」と書かれた看板を掲げていた。

憲法の専門家や野党はサイード大統領の行動を違憲と非難したが、首相の解任と議会の停止は国民に広く支持されている。2011年のアラブの春後に誕生した政府の政策はうまく機能せず、コロナウイルスの感染拡大で国の経済危機はさらに拡大した。

サイード大統領は9月22日、憲法の一部を事実上停止し、立法権を議会から自分に移行した。

サイード大統領の権力独占に反対する人々は先週、全国各地で抗議デモを開催した。現地メディアによると、抗議デモは人権擁護団体、市民社会組織、そして与党ナフダ党の呼びかけで行われたという。

一方、チュニスの地元メディアは3日、「サイード大統領に関する批判的な発言をした議員とテレビ司会者が逮捕された」と報じた。

しかし、3日のデモに参加した人々はサイード大統領を強く支持し、「汚職議会は速やかに解体されなければならない」と主張した。

デモの開催に関与したインティサー・スリット氏はAP通信の取材に対し、「私たちは腐敗した政治家と泥棒議会にウンザリしており、速やかな解散を支援するためにデモを行いました」と述べた。「私たちはサイード大統領を支持します。大統領は国民の意志に基づいて行動しました。腐った政治家のせいで国民の生活は荒れ果てています...」

別の参加者は、「2014年の新憲法公布以来、政治家は私腹を肥やし、国民はより貧しくなりました」と語った。「現在の憲法に民主主義を追及する国民の意志は反映されていません」

一部の専門家は、サイード大統領は独裁体制を確立する可能性があると警告しているが、スリット氏は現在のチュニジアで権威主義を確立することは不可能と断言した。「ベン・アリのような独裁者は二度と現れません...」

ザイン・エル・アビディン・ベン・アリは1987年の無血クーデターで政権を奪取し、20年以上独裁体制を維持したが、2010年12月末のジャスミン革命に屈し、マルタに逃亡した。

腐敗防止政策を公約の柱に掲げるサイード大統領は2019年10月の選挙で初当選を果たした。

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