◎米国と国連はクーデターを主導したアブデル・ファッタ・バーハン将軍に権力を返上するよう要求し、デモ参加者に対する暴力は許されないと警告していた。
10月30日、スーダンの主要都市で軍事クーデターに抗議する数万人規模のデモが開催された。
スーダン医師委員会と人権団体によると、治安部隊はいくつかの場所で抗議者に発砲し、少なくとも3人を殺害したという。負傷者は100人以上と伝えられている。
軍は25日にアブダッラー・ハムドゥーク首相と一部の政府高官を拘束したうえで軍民合同政府のソブリン評議会を解散し、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。
軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導く軍民暫定政府ソブリン評議会を発足させた。しかし、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。
米国と国連はクーデターを主導したアブデル・ファッタ・バーハン将軍に権力を返上するよう要求し、デモ参加者に対する暴力は許されないと警告していた。米国はスーダンに対する7億ドル(約780億円)の援助を停止している。
首都ハルツームのデモを主催した団体は全国に抗議デモを呼びかけ、軍にソヴリン評議会の復活と権力の返上を要求した。
バーハン将軍は内戦を防ぐためにやむなくクーデターを決行したと主張し、昨日組閣に着手すると発表した。西側諸国は組閣ではなく以前の体制に戻るよう要求している。
ハルツームの抗議に参加した人々はバーハン将軍に諦めるよう命じ、「軍主導の政府はいらない」と連呼した。ある抗議者は「後戻り不可」と書かれた旗を振り回した。
一方、現地メディアによると、軍に殺害された3人はハルツームの西に位置するオムドゥルマンの抗議に参加していたという。スーダン医師委員会は、「1人は頭、1人は腹部、もう1人は胸を撃たれていた」と述べた。
しかし、スーダンの警察は実弾の使用を否定し、「デモを監視していた警察官が何者かに撃たれ、負傷した」と主張した。警察当局によると、警察官と兵士は主に催涙ガス弾を使用してデモ隊を解散させたという。
地元メディアは、航海に面する都市ポートスーダン、東部のカッサラ、北部のコルドファン州オペイドなどの主要都市でも数千人規模の抗議デモが行われたと報じた。
軍と警察当局は30日の早い時点でハルツームに通じる幹線道路を封鎖したと伝えられている。2019年の蜂起以来、首都のセキュリティは厳しくなった。
抗議デモは25日のクーデター以来毎日行われており、医師委員会によると、30日の銃撃で犠牲者は12人、負傷者は300人近くに達したという。
危機を緩和するための話し合いは国連を中心に進められている。
スーダンの国連特別特使であるフォルカー・ペルテス氏は29日遅くにクーデターに参加したモハメッド・ハムダン・ダガロ将軍と会談した。ダガロ将軍はハルツームの一部を支配する準軍組織を指揮している。
国連の支援を受けるスーダンの国内委員会は、ハムドゥーク首相およびバーハン将軍と別々に会談したと伝えられている。ハムドゥーク首相は25日に拘束されたが、先日解放された。
AP通信によると、バーハン将軍は拘束した一部の高官の釈放を認めたが、内相を含む閣僚の釈放は拒否したという。国連は30日の声明で、スーダン軍と警察の対応を注意深く監視すると述べた。