◎世界銀行は軍事クーデターに深刻な懸念を表明し、スーダンに対する20億ドル(約2,300億円)の融資を停止すると発表した。
2021年10月25日/スーダン、首都ハルツームの抗議デモ(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

10月27日、世界銀行はスーダンで発生した軍事クーデターに深刻な懸念を表明し、同国に対する融資を停止すると発表した。

アブダッラー・ハムドゥーク首相と一部の政府高官は25日に拘束された。事件後、軍と民間の代表で構成されるソブリン評議会のアブデル・ファッタ・バーハン将軍はクーデターを擁護し、2023年7月の選挙まで権力を維持すると述べ、ソブリン評議会を解散させた。

軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導く軍民暫定政府ソブリン評議会を発足させた。しかし、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。

世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は声明の中で、「軍政の復活は国の社会的および経済的回復に影響を与える可能性があり、深く懸念している」と述べた。

米国はスーダンに対する7億ドル(約780億円)の援助をすでに停止している。アフリカ連合(AU)はクーデターによる権力の掌握を「違憲」と非難し、スーダンを加盟国から一時的に除外した。AU加盟国は貿易やその他の取引で優遇措置を受けることができる。

一方、クーデターを主導したバーハン将軍は、「内戦を回避するために行動を起こした」と述べ、スーダンは民主主義の確立と2023年の選挙に向け進んでいると主張した。しかし、この主張は広く拒絶されている。

スーダンは今年3月、世界銀行と20億ドル(約2,300億円)の融資契約を結んだ。世界銀行がスーダンに融資を提供するのは約30年振りだった。マルパス総裁は首都ハルツームを訪問した際、「スーダンは数十年にわたる危機を乗り越え、ある程度の経済成長を遂げている」と述べていた。

AUは27日の声明でハムドゥーク首相の解放を歓迎したが、「加盟国からの除外は文民政府の復活まで維持される」と強調した。

一方、ハルツームやその他の都市では大規模な街頭抗議が続いており、軍当局はこれまでに少なくとも民間人10人を殺害したと伝えられている。アルジャジーラは27日、「軍はハルツームで活動する民主活動家や組織を逮捕している」と報じた。

スーダンの中央銀行は26日にストライキの開始を宣言し、医師や石油業界の労働組合もデモに参加している。医師協会は声明で、「私たちは国民に対する軍事行動とあらゆる形態の独裁政権に強く反対します」と述べた。

スーダンは1956年の独立以来、独裁者の支配下に置かれてきた。2019年に失脚した独裁者のオマル・アル=バシールはイラクのサダム・フセイン、リビアのカダフィ大佐、アルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンやアイマン・ザワーヒリーなどと密な関係を構築し、米国のブラックリストにも掲載されている。

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