◎新内閣の中に民間の代表が含まれるかどうかは不明。
10月29日、軍事クーデターを主導したスーダンのアブデル・ファッタ・バーハン将軍は数日以内に新内閣を組織すると発表した。
バーハン将軍は国営メディアのインタビューの中で、「軍は国民を2023年の選挙に導かなければならない」と述べ、進行中の抗議デモについては、「平和的なものであれば治安部隊は介入しない」と約束した。
軍は25日にアブダッラー・ハムドゥーク首相と一部の政府高官を拘束した。クーデター後、バーハン将軍は軍と民間の代表で構成されるソブリン評議会を解散し、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。
軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導く軍民暫定政府ソブリン評議会を発足させた。しかし、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。
軍は先日、国際的な圧力が強まったことを受け、ハムドゥーク首相を解放した。しかし、軍はクーデター以来続く抗議デモを厳しく取り締まり、これまでに少なくとも9人を殺害した。
バーハン将軍はクーデター後の声明で、「政党間の争いを収めなければ内戦に発展する恐れがあった」と主張し、クーデターを擁護した。しかし、ソヴリン評議会の意思決定者であるフランス政府は民間に権力を返上するよう軍に命じた。
バーハン将軍はインタビューの中で、まだ閣僚名簿は作成していないと述べた。新内閣の中に民間の代表が含まれるかどうかは不明。
クーデターは民主主義を求める大規模な抗議デモを引き起こし、首都ハルツームやその他の都市は抗議者で埋め尽くされた。
スーダン医師委員会と人権団体によると、治安部隊は一部の抗議者に発砲し、これまでに少なくとも9人が死亡、170人が負傷したという。国連の支援を受ける民主化人権団体は、30日に百万人規模の行進を行うと市民に呼びかけている。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は28日の声明で軍当局に自制を求め、「抗議デモに対する暴力や弾圧はいかなる理由があろうと許されない」と警告した。
一方、米政府も25日以来、ソヴリン評議会を速やかに復活させるようバーハン将軍に求め続けており、スーダンに対する7億ドル(約780億円)の援助を停止した。
スーダンは1956年の独立以来、独裁者の支配下に置かれてきた。2019年に失脚した独裁者のオマル・アル=バシールはイラクのサダム・フセイン、リビアのカダフィ大佐、アルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンやアイマン・ザワーヒリーなどと密な関係を構築し、米国のブラックリストに登録されている。