◎東部地域では先週の大雨で大規模な洪水と土砂災害が発生し、各地で甚大な被害が報告されている。
南アフリカ政府は先週発生した洪水の被災地に兵士1万人を派遣すると発表したが、郊外の農村部や集落に支援はほとんど届かず、多くの住民が自力で行方不明者を探している。
ラマポーザ大統領は18日、緊急事態を宣言し、東部の港湾都市ダーバンを含むクワズール・ナタール州全域に兵士を派遣すると発表した。
報道によると、20日午前の時点で少なくとも448人の死亡を確認し、数十人の行方が分からず、約4万人がホームレスになったという。全壊した家屋は4000戸と伝えられているが、被害の全容はまだ明らかになっていない。
東部地域では先週の大雨で大規模な洪水と土砂災害が発生し、各地で甚大な被害が報告されている。アフリカ最大の港のひとつであるダーバン港も輸出用コンテナ数百個が流され、操業を停止した。
国防軍は18日の声明で、瓦礫の撤去、橋の再建、生活用水の確保、送配電線の復旧作業などを支援するために、各地に部隊を配備すると発表した。
しかし、ターバン郊外のクワンデンゲジでは住民が道路の泥をかき出し、行方不明者を探し、水を確保するために走り回っている。アフリカニュースによると、自治体関係者の姿はひとりも確認できなかったという。
別の集落では住民総出で道路の泥や瓦礫を移動させ、何とか移動経路を確保した。しかし、数日作業しても車はまだ通れない。
クワンデンゲジを含む郊外の住民は甚大な被害をうけたにもかかわらず、1週間以上放置されていることに憤りを感じている。
陸の孤島に取り残された住民たちは水、電気、インターネット通信を失った。アフリカニュースの取材に応じたクマロ氏は、「給水車や食料支援はまだですか?」と政府を非難した。
クマロ氏は「政府は郊外の貧しいエリアに住む人々はどうでもいいと思っています」と語った。「政府は田舎の住民などどうでもいい、都市部や港を先に復旧させよう、田舎は後回しにしようと思っています」
クマロ氏はクワンデンゲジの住民が必要としているもののリストを作成し、自治体に渡すつもりだったが、関係者は今のところ、ひとりも姿を見せていないと語った。「誰も来ません。何もかも自分たちでやっています。本当に腹立たしい...」
多くの住民が自力で身内の遺体を回収し、葬儀を行っている。
3児の母であるントムビ氏は「支援ゼロは本当につらい」と語った。「破損した水道管の水で何とか生き延びています...」
ントムビ氏によると、長男は破損した水道管から水を集める係、次男は濡れた薪を集め火をつける係を担当している。水は飲む前に煮沸消毒している。
今回の洪水被害は南アフリカ史上最悪と考えられている。政府は先週、国庫から10億ランド(約86億円)を拠出し、追加予算を速やかに確保すると発表した。