◎東部地域では先週の大雨で大規模な洪水と土砂災害が発生し、各地で甚大な被害が報告されている。
南アフリカ政府は17日、東部ダーバン(クワズール・ナタール州)で先週発生した洪水について、これまでに443人の死亡を確認し、少なくとも63人の行方が分かっていないと発表した。
ダーバンを含む東部地域では先週の大雨で大規模な洪水と土砂災害が発生し、各地で甚大な被害が報告されている。アフリカ最大の港のひとつであるダーバン港も輸出用コンテナ数百個が流され、操業を停止した。
クワズール・ナタール州政府の報道官によると、ダーバン市内の少なくとも58の病院、500以上の学校が被害を受けたという。全壊または損傷した民家は1万戸以上、4万人以上が避難を余儀なくされ、多くの地域で断水と停電が続いている。復旧の見通しは立っていない。
犠牲者のほとんどがダーバンの市中心部と郊外の山間部で確認された。
連邦政府は自治体の捜索活動を支援するために軍を派遣しているが、多くの地方都市、特に郊外の農村部には支援が行き届いておらず、一部の地域では政府に支援を求める抗議デモが行われた。
南部アフリカ合同会衆教会は17日、被災地で復活祭を開催し、犠牲者に祈りをささげた。
ダーバン郊外の村エテクウィニで被災した女性はアルジャジーラの取材に対し、「8歳の甥を探している」と語った。
エテクウィニの北に位置するサンシャイン村の住民ムジョカ氏はロイター通信に、「寝室の壁が崩壊し、一緒に寝ていた家族3人が死んだ」と語った。「4歳の息子はまだ見つかっていません...」
現地メディアによると、ダーバンの17日の天候は曇りで雨はほとんど止んだため、捜索活動は順調に進んだという。気象局によると、東部地域の天気は今週半ばまでにはおおむね回復する見込み。
政府、教会、慈善団体は洪水で自宅を失った人々への支援を呼びかけている。政府は先週、国庫から10億ランド(約86億円)を拠出し、追加予算を速やかに確保すると発表した。
また政府の災害管理チームによると、病気や障害などによって生活に問題を抱えている人を支援するソーシャルワーカー340人をダーバンに派遣し、精神面のケアも充実させるという。
今回の洪水被害は南アフリカ史上最悪と考えられている。
地元メディアによると、南東部地域は何度か洪水を経験しているが、これほど深刻な被害を受けたのは初めてだという。
南アフリカの北東に位置するモザンピーク、マダガスカル、マラウィなどは今年に入って数回サイクロンと洪水災害に見舞われ、数百人が死亡している。