◎ニジェールとマリはサヘル地域に拠点を置く過激派の取り締まりで連携してきたが、関係は悪化の一途をたどっている。
ニジェール当局は27日、イスラム過激派組織の暴力が増加している隣国マリへの石油製品輸送を停止したと明らかにした。
AFP通信は税関職員の話を引用し、「安全保障上の理由からマリへの石油製品輸送を停止した」と報じている。
AFPによると、税関はマリの企業などに付与した石油製品の輸送許可証を21日付けで取り消したという。ただし、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)向けの製品は対象外。
さらに、マリからニジェールに輸送される製品もMINUSMA以外のものは税関を通過できなくなった。
ニジェールとマリはサヘル地域に拠点を置く過激派の取り締まりで連携してきたが、関係は悪化の一途をたどっている。
マリの軍事政権を率いるマイガ(Choguel Kokalla Maiga)首相は国連総会の一般討論演説でニジェールのバズム(Mohamed Bazoum)大統領を「外国人指導者」と罵倒した。
マイガ氏は「ニジェール国民」を称賛し、バズム氏の行動がマリの疑念を深めていると主張した。
バズム氏は2019年に大統領候補に選ばれた際、マリとつながりの深い野党関係者から「国籍を偽っている」と告発された。
ニジェールの憲法裁判所はこの告発を「根拠がない」と却下したものの、野党とマリ軍はバズム氏を外国人指導者と繰り返し非難している。
税関職員はAFPの取材に対し、「安全保障以外の理由で輸送を禁じることはない」と強調している。
ニジェールを含む西アフリカ諸国はサハラ砂漠以南のサヘル地域に拠点を置くアルカイダやイスラム国(ISIS)系組織の暴力に悩まされている。
ブルキナファソ軍は同日、北部の町に支援物資を運んでいた輸送隊の車両150台が武装勢力の攻撃を受け、兵士少なくとも11人が死亡、市民50人が行方不明と発表した。
マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。