◎49人は昨年7月、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)の要員としてマリに入国し、拘束された。
マリの軍事政権は6日、国家安全保障を害した罪などで有罪判決を受けた隣国コートジボワールの兵士49人に恩赦を与えたと発表した。
政府報道官はゴイタ(Assimi Goita)大佐の声明を引用し、「我々は平和、対話、汎アフリカ主義、マリとコートジボワールの友愛と世俗的関係の維持に対するコミットメントを改めて示す」と述べている。
兵士46人は先週、軍事裁判所で禁固20年、昨年9月に釈放された女性兵士3人は欠席裁判で死刑を宣告された。
兵士49人は昨年7月、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)の要員としてマリに入国し、拘束された。
国連とECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はマリ軍を非難し、速やかに49人を解放するよう要求していた。
ECOWASは1月1日までに49人を解放するよう求めていたが、軍事政権はこの期限も守らなかった。
政府報道官によると、ゴイタ氏は司法の判決を尊重したうえで、49人を赦すという「難しい決断」を下したという。
ゴイタ市は軍事クーデターを2度主導した。最初は2020年、そして2021年に大統領と首相を追放し、大統領代行に就任した。
マリはこの10年、国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織の暴力に巻き込まれてきた。
アナリストは今回の恩赦について、「コートジボワールとの関係改善および、軍事政権は国を完全に統治できていると国際社会にアピールする狙いがある」という見方を示している。
ゴイタ氏は旧宗主国のフランスとの関係を断ち切り、ロシアとの関係を強化。ロシアの民間軍事企業「ワグネル」と協力して過激派討伐を進めているとみられる。
しかし、サヘル地域で進行中の紛争は仏軍のマリ撤退作戦が始まった頃から激しさを増し、多くの民間人と兵士が死亡した。
ドイツ政府も昨年11月、MINUSMAから部隊を撤退させると発表。マリとロシアがつながりを深めていることに言及し、「この地域に部隊を残しておくべきではない」と懸念を示した。
イギリスも時期は未定だが、MINUSMAから部隊を撤退させると発表している。