◎連邦議会は29日、委員会を設置する法案を賛成287ー反対13の賛成多数で可決した。
2020年11月23日/スーダンの難民キャンプに避難したティグライ地域の住民(ロイター通信)

12月29日、エチオピアの連邦議会は北部ティグライ地域周辺で進行中の内戦を終結させるために、戦争当事者間の交渉を促す国内対話委員会の設置に合意した。

議会は委員会を設置する法案を賛成287ー反対13の賛成多数で可決した。

現地メディアによると、議会は声明で「対話委員会は合意への道を開き、国をひとつにまとめるという国民の願いを叶えるだろう」と述べた。

しかし、ティグライ州を統治するティグレ人民解放戦線(TPLF)やオロモ解放戦線などの主要な反政府勢力が対話に参加するかどうかは不透明な情勢である。東アフリカ諸国の政府はTPLFとオロモ解放戦線をテロ組織に指定している。

AP通信によると、一部の政府高官は「委員会にTPLFは参加しない」と認めたという。

エチオピアの著名なジャーナリストであるツェダレ・レマ氏は地元メディアの取材に対し、「委員会は紛争の終結を求める国際社会の呼びかけに応じる努力のひとつだと思う」と述べた。「国際社会は紛争の影響で深刻化する飢餓やその他の危機を対話で解決するよう促しています。委員会の設置は問題の解決に向けたはじめの一歩になるかもしれません...」

またレマ氏は、「政府は今のところ、テロリストとの交渉には応じないという厳格な方針を維持している」と述べた。「国内対話委員会がエチオピアの多層的で複雑な民族間対立を解決できるかどうかは分かりません...」

米国務省のネッド・プライス報道官は29日、アントニー・ブリンケン国務長官とケニアのウフル・ケニヤッタ大統領が会談し、この問題について協議したと明らかにした。

エチオピアの米国大使館は米市民に帰国を強く促している。

プライス報道官は記者団に、「ケニヤッタ大統領とブリンケン国務長官は敵対行為の即時停止、人道支援の妨害の禁止、人権侵害の禁止、そして戦争当事者間の対話を速やかに開始することに合意した」と述べた。

しかし、エチオピアのアビィ・アハメド首相は西側諸国の関与に強く反発している。

アビィ首相の報道官は29日の声明で、「米国はエチオピアに様々な圧力をかけ、TPLFを支援しようとしている」と述べた。

国軍とTPLFの戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFは北部地域などで活動する反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃でティグライ地域の支配権を取り戻した。

政府は先週、TPLFの本拠地であるティグライ州には侵攻しないと発表したが、地元メディアなどによると、他の地域では戦闘が続いているという。

エチオピアとエリトリアの連合軍はここ数週間で北部の主要都市を奪還したと伝えられている。一方、TPLFはティグライ州に隣接するアムハラ州とアファール州を明け渡し、後退を余儀なくされた。

内戦に関与した全ての当事者は広範囲にわたる虐待、虐殺、性的暴行を犯したと非難されている。

2021年5月9日/エチオピア、北部ティグライ地域の食糧配給所(ベン・カーティス/AP通信)
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