◎エチオピア政府は先週、昨年11月に勃発したティグライ紛争の停戦を一方的に宣言したが、同地域の西部では新たな戦闘が始まる可能性があると伝えられている。
7月2日、国連はエチオピア北部ティグライ地域の住民40万人以上が過去数十年で最悪の飢餓に直面し、少なくとも180万人が深刻な食糧危機に瀕していると述べた。
エチオピア政府は先週、昨年11月に勃発したティグライ紛争の停戦を一方的に宣言したが、同地域の西部では新たな戦闘が始まる可能性があると伝えられている。
国連の政治責任者ローズマリー・ディカルロ氏はティグライ国防軍(TDF)に、「停戦宣言を即座にそして完全に支持する」よう促し、「国連の当面の懸念は支援を必要とするティグライ地域の住民に物資を届けることだ」と述べた。
国連人道問題事務所のラメシュ・ラジャシンガム事務局長代理は、飢餓の危機に瀕している人々が前回報告の35万人以上から増加したことについて、「紛争による食糧不安と物資の不足により、危機は劇的に悪化した」と述べた。また、食糧危機に瀕している180万人の状況も悪化する可能性が高く、すでにそれ以上の人々が飢え死にしかけていると指摘する専門家もいると付け加えた。
ラジャシンガム事務局長代理はNYの安全保障理事会のメンバーに、「私たちは過去数十年で最悪の飢餓を経験している」と述べた。「地域の住民の生活は人道機関の支援に依存しています。今すぐ彼らに連絡し、物資を届けなければなりません」
「520万人近くの住民が人道支援を必要としています。その大多数は女性と子供です...」
国軍とティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦闘による死者は数千人と伝えられており、200万人以上が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。紛争に関与した全ての当事者(政府、TPLF、エリトリア軍)は大量虐殺と人権侵害で非難されている。
TPLFは他の反政府勢力と連合を組みTDFを結成したと伝えられているが、エチオピア政府はTDFの存在を否定している。
一方、ニューヨーク・タイムズ紙によると、TDFに拘束された国軍の兵士数千人は、7月2日にティグライの州都メケレで開催されたパレードで行進させられたという。
ティグライの戦闘地域周辺に近づくことは許可されておらず、現地の状況はほとんど分かっていない。住民の生活状況を知るのは人道機関の職員だけだが、彼らも特定の地域に入ることは禁じられている。
AP通信によると、ティグライの地方自治体の元指導者たちは、電力もインターネットもない州都メケレに戻ったという。国連のディカルロ氏は、「重要なインフラストラクチャはほぼ破壊されており、地域への移動手段は限られている」と語った。
またディカルロ氏は、ティグライ紛争の中で最悪の残虐行為を働いたと信じられているエリトリア軍は、国境に隣接する地域に撤退したと述べた。TPLFとエリトリア政府は犬猿の仲であり、エチオピア・エリトリア国境紛争(1998~2000)で激しく衝突した。
ディカルロ氏は安全保障理事会に対し、「エリトリア軍と隣のアムハラ地域のゲリラ軍の影響により、国軍、TDF、その他のティグライの組織による新たな紛争が発生する可能性がある」と語った。「治安の悪化は飢餓の悪化につながります。私たちはTDFに即時の停戦を要請しなければなりません」