◎国連人道問題調整事務所のマーク・ローコック氏は6月4日、「エチオピアで飢餓が発生している」と述べた。
国連の人道支援責任者によると、エチオピア北部のティグライ地域では致命的な飢餓のリスクが高まっており、現時点で35万人以上が餓死しかけているという。
国連人道問題調整事務所のマーク・ローコック氏は6月4日の声明で、「飢餓が発生している」と述べた。「餓死または栄養失調に関連する病死の報告を受けています。状況はさらに悪化するでしょう」
国連食糧農業機関の食料安全保障分析ユニット(FSAU)がソマリア危機で使用するために開発したIPCスケールによると、昨年の戦争で荒廃したティグライおよび隣接するアムハラとアファールで35万人以上が大惨事に直面していることが分かったという。
ローコック氏は、「世界は目を覚ます必要がある」と付け加えた。「国際社会はステップアップしなければなりません。資金を含むあらゆる支援をエチオピアに届ける必要があります...」
エチオピアのアビィ・アハメド大統領率いる国軍とティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の戦争は昨年11月に爆発的に拡大した。一連の戦争で死亡した兵士、民兵、民間人の数は不明。
エチオピア政府はTPLFの宿敵である隣国エリトリアと手を結び、ティグライ地域を破壊した。
IPCの報告によると、北部地域の食料事情は大惨事(フェーズ5)のレベルに達しているという。地域内の小さなグループで餓死者や栄養失調に関連する病死者が出ていることが確認されると大惨事に分類される。
IPCは報告の中で、「5月から6月の間にティグレイ、アムハラ、アファールで35万人以上が大惨事に陥っていることが確認された」と述べた。「この深刻な危機は、人口の移動、移動の制限、人道上のアクセスの制限、収穫物や生計資産の喪失、市場の破壊などにより引き起こされました」
国連のローコック氏は5月下旬の報告の中で、「戦争が始まって以来、推定200万人が家を追われ、民間人は処刑され、女性はレイプを含む忌まわしい性的暴力にさらされ、公共および民間のインフラは粉砕され、ありとあらゆるものが崩壊した」と述べた。
ローコック氏は国際社会に支援を呼びかけた。「数十万人が飢餓状態にあります。これは2011年にソマリアで推定25万人が餓死した時以来の危機、過去10年で最も深刻な危機です。これを放置すれば、1984年に発生したエチオピアの悲劇を超える危機に発展するでしょう」
1984年から1985年にアフリカ大陸で発生した飢饉では、推定200万人が餓死または栄養失調に関連する病気で死亡した。記録によるとその約半数がエチオピアで死亡したという。
IPCの報告によると、5月の時点で北部地域の推定550万人が深刻な食料不安に直面しているという。
・フェーズ5大惨事:35万人(推定)
・フェーズ4緊急:210万人(推定)
・フェーズ3危機:310万人(推定)
ローコック氏は、「国連とエチオピア政府はここ数カ月の間に、北部地域の主に政府が管理する地域の住民約200万人を支援した」と述べた。
しかし、ティグレ人民解放戦線(TPLF)が支配する地域の住民は100万人以上と推定されており、その地域を支援することは極めて困難だという。さらに、エリトリア軍やエリトリアの民兵グループに占領された地域には近づくことすらできないと伝えられている。
ローコック氏は、「国連や人道支援団体の職員は数百万人が生活する地域に近づけない」と述べた。「銃や爆弾を持った者たちは何をしてくるか分かりません...」
国連の人道支援の基準によると、飢餓は死亡率、栄養失調、飢えの特定の基準が満たされた場合に宣言されるという。
<国連の基準>
・地域内の少なくとも20%の世帯が極端な食糧不足に直面し、対処能力が限られている。
・地域内の急性栄養失調率が30%を超える。
・地域内の1日の死亡率が1万人あたり2人を超える。