◎イドリス・デビ前大統領は選挙で再選を決めたわずか2日後に戦死したため、政府関係者が「暗殺」に関与したという噂が広がった。
アフリカ中央部、チャドの裁判所は22日、イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領を殺害したとされる反政府勢力の戦闘員400人以上に終身刑を言い渡した。
国営メディアによると、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」は国家反逆罪、テロリズム、少年の強制徴兵などで告発され、その戦闘員454人が起訴されたという。
イドリス・デビ氏は昨年4月、FACTとの戦闘で戦死。軍の最高司令官であった息子のデビ(Mahamat Idriss Deby)氏はその後、議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
イドリス・デビ氏は選挙で再選を決めたわずか2日後に戦死したため、政府関係者が「暗殺」に関与したという噂が広がった。デビ氏の死因や亡くなった時の状況は一切明らかにされていない。
報道によると、454人の公判期間は約1カ月。20数人が無罪となったようだ。
地裁はFACTのリーダーとされる男に賠償金3000万ドルを支払うよう命じた。
FACTの弁護士はこの判決を不服として最高裁に控訴するとしている。
弁護士は首都ンジャメナの地裁前で記者団の取材に応じ、「被告らは事件への関与を否定している」と語った。
イドリス・デビ氏は1990年、反政府勢力が当時のハブレ政権を打倒した後、政権を奪取。30年以上にわたって権力を堅持した。
国営メディアによると、イドリス・デビ氏はFACTとの戦闘を視察中、戦死したという。それ以上の詳細は明らかにされていない。
イドリス・デビ氏の死後、チャド軍はその息子を大統領代行に指名した。
政府は昨年、議会選の日程を後ろ倒しし、現在の体制を最大24カ月間延長すると発表。民政復帰を求める野党勢力はこれに強く反発し、全国で抗議デモを展開した。