◎スーダン難民はチャドで新たな問題に直面している。
アフリカ西部・チャドに68万人以上のスーダン難民が避難し、国連やその他人権機関の支援を受け、何とか命をつないでいる。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が8日、明らかにした。
それによると、先月チャド東部に逃げ込んだ難民は約6万人。両国の砂漠地帯は自由に行き来できる。
新たに到着した難民の大半は女性と子供で、その多くが徒歩でチャド国境に到着した。
スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の5割強、約2500万人が飢餓に直面し、2万4000人以上が死亡、数万人が負傷したと推定されている。
激戦が続く西部ダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
ダルフール郊外から逃れてきたという女性は国連のインタビューで、「食べるものがなく、家を焼かれ、土地を離れる前に家の前で7人が殺された」と語った。
スーダン難民はチャドで新たな問題に直面している。
チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、難民に支援を提供する余裕などない。国連を含む多くの機関やNGOが国境付近で難民を支援している。
UNHCRのグランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は声明で、「 人道危機は待ってくれず、予算不足の影響で食料を確保するのがやっとの状況、キャンプの衛生環境も悪化し、受け入れ側にかかる圧力はますます高まっている」と述べ、国際社会に支援を呼びかけた。
またグランディ氏は「スーダン内戦向けの支援はウクライナ戦争やガザ紛争に比べると圧倒的に少ない」と強調した。