サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になった。
2022年9月30日/ブルキナファソ、首都ワガドゥグー、反乱軍の将校たち(Radiodiffusion Télévision du Burkina)

ブルキナファソの国営テレビは30日、反乱軍が軍事政権の指導者ダミバ(Paul-Henri Sandaogo Damiba)中佐を追放したと報じた。

陸軍のトラオレ(Ibrahim Traore)大尉はテレビ演説で、「ダミバ中佐はイスラム過激派の反乱に対処できなかったため、追放された」と説明した。

またトラオレ氏は国境を閉鎖し、すべての政治活動を停止すると表明した。

軍は今年1月、国の治安を維持できなかったとしてカボレ(Roch Kabore)大統領を追放した。大統領代行に就任したダミバ氏は治安回復を目指していたが、サヘル地域に拠点を置くイスラム過激派は各地で攻撃を続けている。

軍は今週、北部の町に支援物資を運んでいた輸送隊の車両150台が武装勢力の攻撃を受け、兵士少なくとも11人が死亡、市民50人が行方不明になったと発表した。このテロもサヘル地域に拠点を置く過激派の犯行とみられるが、詳細は不明である。

主要メディアは首都ワガドゥグーで30日に銃声と爆発音が確認され、大統領府が攻撃を受けた可能性があると報じていた。大統領府はフェイスブックにダミバ氏の声明を投稿し、平静を保つよう促していた。

報道によると、大統領府と軍の兵舎近くで爆発音が確認されたという。負傷者の有無は明らかになっていない。

ワガドゥグーの通りは閑散とし、政府庁舎につながる道には兵士が配備されたと伝えられている。

ダミバ氏はフェイスブックの声明で、「一部の兵士が武器を取った」と報告していた。

またダミバ氏は市民に平静を保ち、憶測や噂を広めないよう呼びかけ、「平穏と静けさを取り戻すための交渉が進行中である」と述べていた。

ダミバ氏は今年1月にカボレ大統領を追放し、大統領代行に就任。演説で「この戦争に勝つことができる」と国民を鼓舞した。

しかし、過激派の攻撃は止まず、国民は再び不満を抱き始め、各地で抗議デモが行われている。

30日の午後には、ダミバ氏の解任を求めるデモ隊がワガドゥグーで行進し、ある抗議者は「ロシアに支援を求めるべきだ」と訴えた。

西アフリカではこの2年、クーデターが相次ぎ、マリとギニアでも軍事政権が発足した。マリ軍はロシアの民間軍事会社「ワグネル」と契約を結び、過激派との戦いを有利に進めているとみられる。

ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)によると、ブルキナ軍は国土の60%しか管理できておらず、残り40%は過激派の支配下に置かれている。

サヘル地域で進行中の紛争はこの数カ月で激しさを増し、多くの民間人と兵士が犠牲になった。国連によると、マリ、ニジェール、ブルキナファソで今年イスラム過激派に殺害された民間人は7月末時点で2000人を超え、昨年の通年を上回った。

2022年1月24日/ブルキナファソ、首都ワガドゥグー、ダミバ中佐(Getty Images/AFP通信)
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