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ネパール総選挙、エリート層の子供はどこに?3月5日投開票

「ネポキッズ」という言葉は政治エリートの子どもたちがソーシャルメディア上で贅沢なライフスタイルを誇示する様子を指し、昨年の若者主導の抗議運動の火種の一つとなった。
2025年9月8日/ネパール、首都カトマンズ、政府のSNS禁止令に抗議するデモ隊(AP通信)

ネパールで国政選挙を前に、かつて若者の怒りを象徴した「ネポキッズ(nepo kids)」の話題がを潜めている。その代わり、腐敗問題が選挙キャンペーンの中心となり、多くの有権者が政治システムそのものへの不信感を強めている。

「ネポキッズ」という言葉は政治エリートの子どもたちがソーシャルメディア上で贅沢なライフスタイルを誇示する様子を指し、昨年の若者主導の抗議運動の火種の一つとなった。高級ブランドの箱を積み上げた写真や、世界各地での豪華な休暇の投稿は、国内で20%前後と高止まりする若年失業率や海外に出稼ぎに出る若者の現実と対照的で、怒りを呼び起こした。

昨年9月8日に始まった抗議はネポキッズ批判に加えて政府による複数のSNSプラットフォームの禁止が引き金となり、規模を拡大した。デモは全国に広がり、治安部隊との衝突で数十人が死亡、数千人が負傷したほか、議会や政府機関が焼き払われる事態に発展し、当時のオリ(Khadga Prasad Oli)首相は辞任に追い込まれた。

こうした若者の怒りは、当初はソーシャルメディア上の象徴的な「ネポキッズ」批判に向けられていたが、現在ではより根本的な政治腐敗と不平等への抗議に変化している。汚職・腐敗の根絶を目指す国際的なNOGトランスペアレンシー・インターナショナルのデータによると、ネパール国民の84%が政府の腐敗を大きな問題と認識しているという。

ソーシャルメディアで贅沢を誇示していた一部の「ネポキッズ」は、抗議の高まりを受けて姿を消しつつある。元ミス・ネパールで保健相の娘として知られた女性はインスタグラムを削除し、別の政治家の孫娘もアカウントを非公開にした。また、政治家の息子として高級ブランドの箱を背景にした投稿で物議を醸した人物は投稿を続けているものの、抗議の主要テーマとしての関心は薄れていると指摘される。

選挙に向けて主要政党は腐敗対策を前面に掲げ、有権者の不満に応えようとしている。ある新興政党は憲法機関の透明性強化を約束し、共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)は青年層の政治参加を訴えている。ネパール会議派は1991年以降の公職者の資産調査を行う高レベルの調査を提案し、5選を誇る指導者を党首から外すなど内部改革を進めている。

しかし、若者の間ではこれらの約束が実際の変化に結びつくか疑問視する声も少なくない。抗議運動の指導的存在だった若者の1人は、古い政治勢力が依然として力を持つ限り、大きな変化は期待できないと語る。有権者の間には、新しい顔ぶれの政治家や抜本的な制度改革を求める声が根強い。

今回の選挙はネパールが腐敗と不正義への怒りにどのように応えるかを問う試金石となる。多くの有権者が政治の透明性や説明責任を求め、特に若い世代の投票行動が結果に大きな影響を及ぼす可能性がある。総選挙は3月5日投開票。

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