◎ミャンマーとバングラデシュから海路で近隣諸国を目指すロヒンギャ難民の数はこの7年で劇的に増加した。
2022年11月15日/インドネシア、アチェ州の避難所、ロヒンギャの避難民(Zik Maulana/AP通信)

国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)は8日、タイ南部リペ島沖のアンダマン海で発見されたロヒンギャ難民約200人を救助するよう東南アジア諸国に要請した。

UNCHRによると、人々を乗せた船のエンジンは今月1日に故障し、それ以来、この海域をさまよっているという。

マレーシアのメディアも遭難が事実であることを確認し、難民の一部が死亡したと伝えている。

タイ政府はこの問題に関する声明を出しておらず、船の現在地も不明。タイの一部メディアはこの海域で漁を行っている漁師の話を引用し、「船は公海上を漂っている」と報じた。

UNHCRは声明の中で、「速やかに救助しなければ取り返しのつかない事態に発展する」と警告した。

国連の報告書によると、ミャンマーとバングラデシュから海路で近隣諸国を目指すロヒンギャ難民の数はこの7年で劇的に増加したという。

2017年のミャンマー軍による弾圧で殺害されたロヒンギャは1万3000人と推定され、少なくとも200の村が焼き払われ、100万人以上が国外に逃亡した。

バングラのコックスバザール地区には90万人近くのロヒンギャが避難しており、世界最大の難民キャンプを形成している。

難民の多くが比較的治安の良いイスラム国家であるマレーシアを目指して出港する。

UNCHRは声明で、「国際人道法は海で遭難した人々を助け、安全な場所に移送するよう義務付けている」と述べ、東南アジア諸国に支援を求めた。

またUNHCRは弾圧に直面しているロヒンギャ難民をミャンマーに送り返そうとする試みは非人道的と言わざるを得ないと批判した。

UNHCRによると、今年1月から11月の間にミャンマーまたはバングラを出港したロヒンギャ難民は2000人近くに達したという。2021年は300人に満たなかった。

今年海路で死亡または行方不明になったロヒンギャ難民は確認できているだけで119人に達した。

UNHCRは人々を救出した国に人道支援を提供する用意があると述べた。

マレーシアは難民の多くを施設に拘留しているが、近隣諸国に比べると治安が良く、生活の基盤を築きやすいという理由で主要な目的地になっている。

インドネシアは1951年に国連で採択された「難民の地位に関する条約」に加盟していないが、UNHCRによると、2016年の大統領令で難民の扱いに関する規定が定められて以来、多くのロヒンギャを受けている。

ミャンマーにとどまっているロヒンギャは約57万人と推定されている。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、西部ラカイン州に残った人々は軍事政権が管理する収容所に押し込められているという。

アムネスティは軍の措置を「アパルトヘイト」と呼び、移動、教育、健康、その他のありとあらゆる権利がひどく侵害されていると糾弾している。

バングラデシュの難民キャンプ(Getty-Images)
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