◎6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1700人を超え、50万人以上が避難所や屋外で寝泊まりしている。
パキスタン、南部シンド州(Asif Hassan/AFP通信/Getty Images)

国連は12日、大水害に見舞われたパキスタンの被災地への支援を加速するよう国際社会に改めて呼びかけた。

国連によると、先週開始した資金調達は目標額の20%にとどまっているという。

パキスタン国家防災管理庁(NDMA)によると、6月中旬以降の大雨がもたらした洪水の犠牲者は1700人を超え、50万人以上が避難所や屋外で寝泊まりしている。

国連は緊急支援目標を1億6000万ドルから8億1600万ドルに増やしている。

国連のパキスタン人道支援調整官は、農作物、自宅、家畜を失った膨大な市民の健康、飲料水、避難所、食料確保が困難になっていると懸念を表明し、国連が受け取った資金は9000万ドルにとどまっていると明らかにした。

パキスタン政府もこの水害で自宅を失った790万人以上が危機に瀕し、不衛生なテントや仮設住宅で生活している多くの市民がデング熱やマラリアなどの感染症に苦しんでいると警告している。

レーマン(Sherry Rehman)気候変動相は12日の記者会見で、「パキスタンは世界最大の気候大災害に見舞われた」と述べ、国際社会に支援を呼びかけた。

レーマン氏によると、この水害で死亡した人は確認できているだけで1717人に達し、1万2000人以上が負傷したという。

レーマン氏は「パキスタンだけで被災地を復旧することは不可能であり、国際社会の支援と行動が必要だ」と訴えた。「世界銀行は復興に400億ドルかかると見積もっていますが、もっとかかるかもしれません」

国連によると、この水害で農地400万エーカー(東京都面積の7.5倍)が破壊され、広い地域がまだ水没しているため、農作物を植えることすらできないという。

ノーベル平和賞受賞者の人権活動家マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)氏は12日、大きな被害を受けた南部シンド州の避難所を訪問した。

ユスフザイ氏は避難所生活を余儀なくされ、学習の機会を失いつつある子供たちに「厳しい状況に立ち向かう勇気を持つことが大事だ」と話した。

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