◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカの現地メディアは10日、ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任を求めるデモ隊が首都コロンボの政府関係者宅に火を放ったと報じた。
ラジャパクサ大統領の兄であるマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)首相は9日、デモ隊と政府支持者の乱闘で死者が出たことを受け、辞意を表明した。
この乱闘では与党議員を含む少なくとも7人が死亡、190人以上が負傷した。ラジャパクサ兄弟を支持する勢力はこん棒やバールで武装し、大統領府前で抗議していたデモ隊に襲いかかった。
現地メディアによると、デモ隊はラジャパクサ邸を含む政府関係者の豪邸を襲撃したという。
治安当局者はAFP通信の取材に対し、「夜明け前にラジャパクサ首相とその家族を安全な場所に避難させた」と説明した。当局者によると、暴徒はラジャパクサ邸に火炎瓶を少なくとも10個投げ込んだという。
政府は暴力を抑えるために非常事態を宣言しており、夜間外出禁止令の期間を11日朝まで延長している。
スリランカは1948年の独立以来最悪の経済危機に直面し、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつきかけている。
デモ隊はラジャパクサ首相だけでなく大統領の辞任を求めている。
治安当局者によると、警察はラジャパクサ一族の豪邸周辺にバリケードを設置し、デモ隊に催涙ガス弾を撃ち込み、何とか抑え込むことに成功したという。
しかし、デモ隊の一部は警察の包囲網をかいくぐってラジャパクサ一族とつながりのある有力者の不動産数十戸に火を放った。アルジャジーラによると、公金で建てられたと噂されているラジャパクサ博物館も攻撃を受け、全焼したという。
博物館にはラジャパクサ兄弟の両親の蝋人形2体を含むファミリーの遺産が展示されていた。
PM Mahinda Rajapaksa’s ancestral home in Madamulluna has been set on fire. pic.twitter.com/JAN52w5Gxw
— DailyMirror (@Dailymirror_SL) May 9, 2022
ラジャパクサ一族は停電や食料不足とは無縁の生活を送っている。
一方、国民はラジャパクサ兄弟の不作為が招いた食料・燃料不足に直面し、あえいでいる。
ラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に見事に引っ掛かり、主要な港湾インフラを中国に引き渡し、国を借金漬けにした。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、炎に包まれる豪邸と歓声を上げる人々の姿が映っている。報道によると、大統領の自宅は無事だったという。
ラジャパクサ大統領は6日、デモを抑えるために非常事態を宣言したが、デモ隊は夜間も活動している。
非常事態宣言は警察と軍の権限を強化するため、一部の専門家は暴力的な取り締まりに発展する可能性があると懸念を表明している。
10日の放火事件を目撃したという男性はアルジャジーラに、「ラジャパクサは一族の支持者にデモ隊を叩きのめすよう命じた!」と語った。「あの男は非武装のデモ隊を殺すために支持者を利用しました!」
スリランカ当局は10日、兵士数千人を主要都市に配備し、夜間外出禁止令を遵守するよう国民に呼びかけた。