スリランカは対外債務の処理に苦労している。
2022年5月9日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(Eranga Jayawardena/AP通信)

スリランカのマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)首相は9日、経済危機の悪化に抗議する民主的な抗議デモが激しい乱闘に発展し、与党議員を含む少なくとも3人が死亡したことを受け、辞意を表明した。

スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつきかけている。

同国を20年近く率いてきたラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に見事に引っ掛かり、主要な港湾インフラを中国に引き渡し、国を借金漬けにした。

ラジャパクサ首相は弟に辞表を提出したと明らかにした。

デモ隊はゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任を求めている。

首相府によると、ラジャパクサ首相は弟が提案している「新統一政府」発足を実現させるために辞意を表明したという。

ラジャパクサ大統領は先月、野党に「挙国一致内閣」を提案したが、野党はこの申し出を却下し、兄弟に引退を勧めた。

現地メディアによると、首都コロンボの大統領府近くで抗議していたデモ隊にラジャパクサ首相を支持する団体が襲いかかり、乱闘に発展したという。当局は与党議員を含む少なくとも3人が死亡、150人以上が負傷したと発表した。

デモに参加した男性はアルジャジーラの取材に対し、「ラジャパクサの応援団が暴力を解き放った」と語った。「彼らはこん棒やバールで武装していました」

スリランカは先週から非常事態宣言下に置かれている。

ラジャパクサ兄弟の辞任を求めるデモは1カ月以上続き、全国規模のストライキに発展した。

ラジャパクサ首相の支持者に殴られたという男性はAP通信の取材に対し、「ラジャパクサ(大統領)は家族を犠牲にして生き残ろうとしている」と憤慨した。「あの男は責任を周囲の人間になすりつけ、自分だけ生き残ろうとしています。もう十分です!」

首相官邸前でも数千人規模の集会が行われ、その後、抗議者は大統領府のデモ隊に合流した。

目撃者によると、警察は大統領府近くの幹線道路にバリケードを設置し、ラジャパクサ首相の支持者を食い止めようとしたが、圧力に屈したという。

バリケードを突破したラジャパクサ派は大統領府近くに設置されたデモ隊のキャンプを襲撃した。

警察は乱闘を抑えるために催涙ガス弾と放水砲を使用した。

コロンボ国立病院の広報担当はAFP通信に、「78人が緊急入院した」と説明している。

ラジャパクサ大統領は9日、「暴力を扇動した人、暴動に関与したすべての人、そして、あらゆる暴力行為を非難する」とツイートした。「暴力は問題を解決しません!」

在スリランカ米国大使は、「平和的なデモ参加者に対する暴力を非難し、政府に暴力を扇動した者の逮捕・起訴を含む完全な調査を行うよう要請する」と声明を発表した。

スリランカの外貨準備は底をつきかけている。サブリ(Ali Sabry)財務相は先週、原油価格の高騰、インフレ、減税などの影響で同国の外貨準備は5000万ドルまで減少したと報告した。

ラジャパクサ大統領は世界銀行や国際通貨基金(IMF)に支援を要請している。報道によると、政府は緊急支援の確保を目的とした関係機関との会談をまもなく開始する予定。

ラジャパクサ大統領は先週、今年2回目の非常事態を宣言したが、国民の怒りを抑えることできなかった。

政府は外貨不足の影響で輸入品の代金を支払えず、各地で物資不足が深刻化し、インフレに拍車をかけている。コロンボでは調理用ガスを求める人々が連日行列を作っている。

国内の主要エネルギー会社は9日、主に調理に使われる液体石油ガス(LPガス)の在庫が少なくなっていると声明を発表した。「我々は破産国家です。銀行には信用枠を開くために必要なドルがありません。私たちは今、事業を維持するだけで精一杯の状態です」

2022年5月9日/スリランカ、首都コロンボの抗議デモ(Eranga Jayawardena/AP通信)
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