◎シンガポールは国内で消費する鶏肉の3分の1をマレーシアから輸入している。
2022年5月31日/マレーシア、首都クアラルンプールの市場(Vincent Thian/AP通信)

シンガポールの国民は隣国マレーシアの鶏肉輸出禁止措置に気をもんでいる。

マレーシア政府は先週国内の食料価格高騰と鶏肉が不足しているとして、6月1日から鶏肉の輸出を禁止すると発表した。

マレーシアの地元メディアによると、同国は冷凍鶏肉など、毎月360万羽を輸出しているという。

シンガポールは国内で消費する鶏肉の3分の1をマレーシアから輸入しており、国民食チキンライスの価格が高騰するのではないかという懸念が広がっている。

シンガポールは輸入鶏のほぼすべてを国内の工場で処理している。地元メディアによると、主要な市場やスーパーマーケットは新鮮な鶏肉を求める消費者でひどく混雑しているという。

日刊紙ザ・ストレーツ・タイムズは専門家のコメントを引用し、「チルド鶏肉の小売価格が最大30%上昇し、鶏肉料理の価格が高騰する可能性がある」と報じた。

政府は国民に長期保存可能な冷凍鶏肉や他の代替肉を購入するよう促している。

使用する鶏肉をすべてマレーシアから仕入れているというチキンライスの名店「天天海南鶏飯」は地元メディアのインタビューの中で、「新しい仕入先が見つからない場合は、冷凍鶏肉は使わず豚肉や海鮮料理を提供する」と述べている。

マレーシアの輸入禁止はウクライナ戦争の影響を強く受けている。ウクライナは鶏の餌となるトウモロコシや穀物の主要輸出国である。

インドも自国の市場を守るために砂糖と小麦の輸出を制限し、インドネシアもパーム油の販売を一時停止した。

一方、マレーシア政府はインフレ圧力と国民の不満の高まりを受け、鶏肉などの輸入制限を廃止した。政府は通貨安による輸入飼料高騰の影響を受けた鶏肉生産者に補助金を支給してきたが、この対応には限界があった。

マレーシア政府は輸出禁止の期間を明らかにしていない。政府は鶏肉の小売価格は1カ月以内に正常化すると予想している。

輸出で生計を立てている小規模養鶏業者は政府の方針に反対している。輸出制限は国内の需要を満たし価格を抑えるが、輸出で収益を上げている農家や企業は打撃を受ける。

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