パキスタンの著名な人権弁護士に禁固17年、政府を敵視するSNS投稿で
判決は同国政府が問題視するソーシャルメディア上の投稿が「国家や安全保障機関に敵対的」とされたことを根拠としている。
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パキスタン・イスラマバードの裁判所は24日、人権弁護士ザイナブ・マザリ(Zainab Mazari)氏とその夫にそれぞれ17年の禁錮刑を言い渡した。判決は同国政府が問題視するソーシャルメディア上の投稿が「国家や安全保障機関に敵対的」とされたことを根拠としている。夫妻はイスラマバードで逮捕され、裁判を拒否したため裁判所が審理なしで判決を下したとされる。
裁判を担当した判事はマザリ氏がここ数年にわたりX(旧ツイッター)に投稿したコメントが反政府勢力「バルチスタン解放軍(BLA)」や同国最大のイスラム過激派「TTP(パキスタンのタリバン運動)」の意図を描写していたと非難し、夫をその「共謀者」と指摘した。検察はこれらの投稿が「反国家的で誤解を招く内容」を広め、国家機関への信頼を損なったと主張した。夫妻は起訴内容を否定しているが、裁判には出廷しなかったという。
事件の発端は2025年8月にイスラマバードの国家サイバー犯罪捜査局に寄せられた苦情で、夫妻がソーシャルメディアを通じて国家や安全保障機関を中傷しているとの内容だった。夫妻は同年10月に正式に起訴されたが、出廷を拒否し続けていた。裁判所は夫妻が出廷しないまま映像で一時的に出席した後、審理を中断し判決を下したとしている。
夫妻の逮捕と判決には国内外の人権団体や法律専門家らから強い批判が上がっている。アムネスティ・インターナショナルは声明で、夫妻の拘束を「司法的嫌がらせと脅迫の継続的なエスカレーション」と位置付け、即時釈放を求めた。また、他の人権団体も表現の自由をめぐる深刻な後退だとして懸念を示している。
夫妻は拘束された人権活動家やジャーナリスト、政治活動家の弁護を行い、国家の取り締まりに対し批判的な立場を取ることが多かった。特にマザリ氏は失踪者問題や治安部隊の行動を巡る批判的な投稿でも知られていた。これについて政府側は、同氏が「テロ組織に同調する投稿をした」と断定しているが、人権団体はこれを政治的弾圧だと受け止めている。
マザリ氏は政治家の娘であり、著名な人権擁護者としても知られる。夫妻の家族は判決を「完全に違法」と強く非難した。夫婦の支持者らは、裁判が公正な手続きを欠いているとして、法的措置や抗議活動を呼びかけている。
一方、パキスタン政府は国内のサイバー犯罪法に基づく正当な手続きであると主張している。首相府の報道官はSNS上で国家機関を中傷する行為には厳正な対応が必要だとの見解を示し、「法の下で判決が下された」と述べた。これに対し、法律専門家の中には今回の判決が表現の自由を著しく制限する前例となる可能性を指摘する声もある。
今回の判決はパキスタンにおける言論の自由や司法独立を巡る国内外の議論を一段と活発化させる見通しであり、人権保護と国家安全保障のバランスをどう取るべきかという問題を改めて浮き彫りにしている。
