◎アフガン国境付近で25日に発生した武装勢力とパキスタン陸軍の銃撃戦では兵士少なくとも1人が死亡、市民10数人が負傷した。
パキスタン軍は26日、南西部バルチスタン州で発生した複数の襲撃事件を受け、イスラム過激派の捜索範囲を拡大すると発表した。
アフガン国境付近で25日に発生した武装勢力とパキスタン陸軍の銃撃戦では兵士少なくとも1人が死亡、市民10数人が負傷したと報告されている。武装勢力の戦闘員も死亡した。
バルチスタン州政府は26日、同州内で前日に確認された暴力事件は9件に達したと報告。民間人の犠牲者は出なったという。
シャリフ(Shahbaz Sharif)首相は26日、イスラム過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」を念頭に置き、「治安当局に捜索エリアを広げるよう命じた」と発表した。
軍報道官によると、バルチスタン州の別の地域をパトロールしていた部隊が25日、道路脇に設置された爆弾の爆発に巻き込まれ、陸軍大尉を含む少なくとも5人が死亡したという。
地元メディアによると、犯行声明は出ておらず、パトロール部隊は路上に設置された即席爆発装置(IED)とみられる爆弾の爆発に巻き込まれたという。
バルチスタン州の州都クエッタでは何者かがバザールに手榴弾を投げ込み、市民12人が負傷。別の3地域でも市民が攻撃を受け、少なくとも5人が負傷した。
地元メディアによると、陸軍の総司令官を含む高官は26日、銃撃戦の末に死亡した兵士の葬儀に参列したという。
TTPはかつてバルチスタン州に拠点を置いていたが、現在はアフガンの山岳地帯に潜伏している。
軍によると、TTPは昨年8月のアフガン・タリバンの政権奪取以来、活動を活発化させているという。TTPとアフガン・タリバンは別組織だが、思想は共有している。
TTPは先月、パキスタン軍が停戦協定に違反したとして、一方的に協定終了を宣言し、アフガン国境以外の地域でも攻勢を強めている。
バルチスタン州ではこの20年、TTP以外にも反政府武装組織「バルチ解放軍(BLA)」やその他のイスラム過激派が政府への攻撃を続けている。これらの過激派はバルチスタン州の分離独立を目指している。
首都イスラマバードの在パキスタン・サウジ大使館は26日、自国民に対し、全国で過激派の脅威が高まっているとして、外出を控えるよう勧告した。
在米大使館も前25日に同様の声明を出している。