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パキスタンとアフガンの国境閉鎖、2日目に突入、停戦は維持

タリバン暫定政権はパキスタン軍の兵士58人を殺害したと主張。一方、パキスタン側はタリバンおよび関連テロリスト200人以上を殺害したと主張している。
2025年10月12日/パキスタン、北西部カイバル・パクトゥンクワ州のトルカム国境検問所近く(AP通信)

パキスタンとアフガニスタンの国境で発生した衝突について、現地メディアは13日、国境検問所の閉鎖が続き、数千人が立ち往生していると報じた。

戦闘は11日夜に発生したとされる。

パキスタン軍は自軍の兵士23人が死亡したと発表。タリバン側は自軍9人の死亡を認めた。

タリバン暫定政権はパキスタン軍の兵士58人を殺害したと主張。一方、パキスタン側はタリバンおよび関連テロリスト200人以上を殺害したと主張している。

現場で何が起きたかは分かっておらず、現地メディアによると、戦闘が起きたエリアへの移動は禁じられているという。

パキスタン軍は9日、アフガン領内に拠点を置くパキスタン最大のイスラム過激派TTP(パキスタンのタリバン運動)の拠点とされる施設を空爆。タリバンはこれを主権の侵害と糾弾した。

パキスタン軍は空爆を公式に認めていない。タリバン当局によると、首都カブールと東部地域に爆弾が投下されたという。

アフガンと国境を接するパキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州と南西部バルチスタン州では近年テロが多発。その多くにTTPと反政府勢力バルチスタン解放軍(BLA)が関与している。

TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切った。

パキスタン当局は現在、この2州と周辺地域で大規模な対テロ作戦を実施中である。

パキスタン政府はタリバンがTTPを支援していると非難しているが、タリバンはこれを否定している。

戦闘勃発後、サウジアラビアを含む複数の湾岸諸国が双方に自制を求めた。パキスタン当局によると、戦闘は12日の夜明け前にほぼ終了したという。

停戦は維持されている模様だ。

パキスタンのメディアによると、陸軍のムニール(Asim Munir)参謀長を含む高官が13日、駐屯地ラワルピンディで戦死した兵士たちの合同葬に参列したという。

国境検問所は全て閉鎖されており、いつ再開されるかは不明。両側で数千人が立ち往生し、途方に暮れている。

報道によると、最も人の行き来が多いトルカム国境検問所も13日午後の時点で閉鎖されたままだ。

パキスタン政府とタリバン暫定政権の関係は複雑かつ緊張を含んだものとなっている。

歴史的にパキスタンはタリバンとの関係が深く、1990年代には旧タリバン政権を承認した数少ない国の一つだった。

しかし、2021年にタリバンが再び政権を握って以降、両国間の関係には摩擦が増している。主な原因は、TTPの存在であり、パキスタンはタリバンがTTPを庇護していると非難している。

これに対しタリバンは関与を否定しているが、TTPによる越境攻撃が続く中で、パキスタン側は軍事的対応を強めている。また、難民問題や国境管理をめぐる対立も関係悪化の一因となっている。

友好関係に見えながらも、相互不信と安全保障上の懸念が両国の協力を妨げているのが現状である。

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