◎事件はアフガン国境近くの地区にある警察署で18日に発生した。
パキスタン政府は20日、北西部カイバル・パクトュンクワ州の警察署を占拠したテロリスト33人を殺害し、人質を全員解放したと発表した。
政府報道官によると、イスラム過激派組織「パキスタンのタリバン運動(TTP)」は18日にこの警察署を占拠したという。
地元メディアは治安筋の話を引用し「TTPが犯行声明を出した」と伝えている。
報道官によると、署内にいた人質は全員解放され、陸軍の兵士2人が死亡、10~15人が負傷したという。
カイバル・パクトュンクワ州では政府とTTPの停戦協定が先月期限切れを迎えたことで暴力が増加している。TTPはかつて同州に拠点を置き、現在はアフガンの山岳地帯から越境攻撃を仕掛けている。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、同盟関係にある。
政府当局によると、昨年8月のアフガン・タリバンによる政権奪取以来、TTPは活動を活発化させている。
今回の人質事件はアフガン国境近くの地区にある警察署で発生した。
国防相は国会で事件を説明し、「TTPの戦闘員33人は異なる組織ともつながっている」と語った。
政府報道官によると、TTPは18日、警察署の守衛をレンガで殴り、武器を奪い、占拠したという。
TTPは人質を解放する見返りに警察署の武器をすべて差し出すよう求めたが、交渉は決裂。膠着状態に陥った。
陸軍は20日の現地時間12時30分頃、警察署を奪還する機会を得たと伝えられている。
地元の目撃者はSNSに「爆発音と銃声が聞こえる」などと投稿しているものの、奪還作戦の詳細はほとんど明らかになっていない。
国防相は国会で、「テロリスト33人を殺害し、人質を全員解放した」と説明したが、人質の数には言及しなかった。
また国防相は「カイバル・パクトュンクワ州の治安が崩壊している」と深刻な懸念を表明し、取り締まりを強化すると示唆した。
地元メディアによると、警察署のある地区の学校、企業、道路はすべて閉鎖され、検問所が設置されたという。
カイバル・パクトュンクワ州の別の地区の警察署で18日に発生した襲撃事件では警察官4人が殺害されている。犯行声明は出ていない。