◎野党は3日に不信任決議案を提出する予定だったが、カーン首相は権限に基づき議会を解散した。
パキスタンの最高裁判所は5日、イムラン・カーン首相が国民議会(下院)を違法に解散したという野党の申し出の判決を先送りした。
野党は3日に不信任決議案を提出する予定だったが、カーン首相は権限に基づき議会を解散した。カーン首相は連立を組む政党の離脱などで窮地に立たされており、解任される可能性が高いと考えられていた。
最高裁は声明の中で、「多くの関係者の訴えを聞く必要があるため、5日以降も審理を継続する」と述べた。
カーン首相の盟友であるスリ副議長は議会の解散を宣言したが、野党はこれを憲法違反と主張している。
ロシアと中国寄りの外交政策を展開しているカーン首相は解散に先立ち、野党の攻勢と連立政権の崩壊を米国のせいにした。「米国は私を追い出したいと考え、政敵の追放計画に協力しました...」
米国はこの訴えを否定している。
米国務省のプライス報道官は4日の定例会見で、「米国は立憲民主主義の原則を平和的に維持することを支持する。パキスタンもそう、世界もそうだ」と語った。「我々はある政党を支持するのではなく、より広範な原則、法の支配、法の下の平等を支持します」
カーン首相は先月行われたロシア・ウクライナ戦争を非難する国連安保理決議を棄権したこと、侵攻開始日の2月24日にロシアを訪問したことで批判を浴びている。
最新の世論調査によると、カーン首相の支持率は進行中のインフレと対外債務の急増で下降気味である。
カーン首相の政治的な揺らぎは、カーン首相と核兵器を保有する強力な軍部との関係が悪化したことに起因するという見方がある。また、カーン首相が情報機関の新長官の任命を昨年10月に拒否したことも要因のひとつと指摘されている。
一部の専門家は、「米国を含むカーン首相の政敵はこの弱点に目をつけ、連立政権のパートナーを離反させ、与党は議会の過半数を失った」と指摘している。