パキスタン政府、サウジとの「完全な連帯」表明、イエメン空爆で緊張高まる
今回の表明は、地域の平和と安定を促進するために対話と外交を重視する意向を強調したものである。
とパキスタンのシャリフ首相(AP通信).jpg)
パキスタンのシャリフ(Shehbaz Sharif)首相は25年12月31日、サウジアラビアのサルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)と電話で会談し、イエメンに対するサウジ軍の空爆を受けて、同国への「完全な連帯」を表明した。パキスタン首相府が明らかにした。今回の表明は、地域の平和と安定を促進するために対話と外交を重視する意向を強調したものである。
声明によると、シャリフ氏はサルマン皇太子に対し、パキスタンがサウジとの長年にわたる友好関係と兄弟的絆をさらに強化する意向を持っていると伝えた。また、両首脳は互いの協力関係を深化させることへの強い意志を再確認し、皇太子は来年パキスタンへの公式訪問を計画している意向を伝えたという。
この電話会談はサウジが今週、アラブ首長国連邦(UAE)から到着した武器輸送船に関連してイエメンの港を空爆したことを受けて行われたものである。サウジ当局はこの武器輸送が分離派勢力へ向けられたと主張し、これによりイエメンの戦況が一段と複雑化している。空爆はイエメン内戦で親イラン組織フーシ派に対抗する勢力同士の軋轢を深め、中東地域全体の緊張を高める可能性がある。
パキスタンはサウジと同様にUAEとも緊密な関係を維持しているため、両国間の緊張はパキスタンの外交にとっても大きな試練となっている。シャリフ氏はUAEの首長とも先に会談し、地域の緊張緩和に向けた努力を行っている。パキスタンとサウジは9月に相互防衛協定を締結、いずれかの国への攻撃は両国への攻撃とみなすことを定めている。
パキスタン外務省は31日の声明で、イエメン情勢の再燃に懸念を示すとともに、いかなる当事者による一方的な行動も紛争をエスカレートさせ、地域の安定を損なう可能性があるとして強く反対する姿勢を示した。また、イエメンの統一と領土保全への支持を再確認し、地域の平和と安定回復に向けた努力を歓迎する内容となった。
サウジはパキスタンにとって主要な経済パートナーであり、石油供給や金融支援の面で長年にわたり重要な役割を果たしてきた。近年、UAEもパキスタンへの多額の投資を約束、両国との関係バランスはパキスタンの外交戦略にとって極めて重要である。
今回の首脳間のやり取りは、イエメン情勢の不安定化が中東のみならず地域全体の安全保障環境に影響を及ぼしていることを反映している。パキスタンはサウジとの伝統的な結びつきを再確認しつつ、対話と外交を通じて地域の平和維持に寄与する姿勢を鮮明にした形だ。
