パキスタン軍、アフガン東部への空爆否定、タリバンが主張
パキスタン軍の報道官はラワルピンディでの記者会見でこの主張を退け、「そのような空爆は行われていない」と語った。
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パキスタン軍は25日、同国軍がアフガニスタン東部を空爆したというアフガン・タリバン暫定政権の主張を否定した。
タリバン暫定政権は同日、パキスタン軍がアフガン東部3州で夜間空爆を行い、9人の子供を含む10人の民間人を殺害したと発表した。
暫定政権のムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官はX(旧ツイッター)に声明を投稿。パキスタンが南東部ホスト州の民家を爆撃し、子供9人と女性1人が死亡したと書いた。
さらに国境地帯のクーナル州とパクティカ州でも追加空爆が行われ、4人が負傷したという。
パキスタン軍の報道官はラワルピンディでの記者会見でこの主張を退け、「そのような空爆は行われていない」と語った。
一方、ムジャヒド氏はパキスタン軍の空爆と断言。攻撃を「残虐行為」と評し、パキスタン側が領土を侵害したと指摘した。
またムジャヒド氏は「アフガニスタンは自国の領空・領土を防衛する正当な権利を有しており、適切な時期に必要な対応を取る」と述べ、報復を示唆した。
パキスタン軍の報道官は記者団に対し、「そのような空爆は行われておらず、パキスタンは民間人を標的にしない」と述べた。
また報道官は10月の空爆に言及。「パキスタン国内の暴力の背後にいるTTP(パキスタンのタリバン運動)の隠れ家を標的としたものである」と付け加えた。
さらに、「我々はこうした攻撃を実施するたびに発表し、認めている」と主張した。
パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州では前日、治安部隊本部で自爆テロが発生し、3人の警察官が死亡、11人が負傷していた。
犯行声明を出した組織は確認されていないが、地元メディアはTTPが関与していると報じている。
アフガンと国境を接するカイバル・パクトゥンクワ州と南西部バルチスタン州では近年テロが多発。その多くにTTPと反政府勢力バルチスタン解放軍(BLA)が関与している。
TTPとアフガンのタリバンは別組織だが、思想は共有している。TTPは現在、アフガンの山岳地帯に潜伏しているとみられ、2022年11月に中央政府との停戦協定を一方的に打ち切った。
パキスタン当局は現在、この2州と周辺地域で大規模な対テロ作戦を実施中である。
パキスタン政府はタリバンがTTPを支援していると非難しているが、タリバン暫定政権はこれを否定している。
トルコ・イスタンブールで今月初めに行われていたパキスタンとアフガンの和平協議は合意なしで終了した。
両政府は先月、国境付近で数十人の死者を出した衝突が数日続いた後、停戦を発表。その後、この期間を延長し、停戦合意を尊重すると約束した。
最初の協議はカタール・ドーハで10月19日に行われ、停戦が成立した。
両国は10月25日から30日にかけて行われた2回目の協議で「停戦を維持」することで合意した。
紛争は10月9日に首都カブールで発生した爆発事件(パキスタン軍の空爆とみられる)をきっかけに勃発。タリバン暫定政権はパキスタンを非難し報復を宣言した。
現地メディアによると、両国の国境で新たな衝突は報告されていない。
停戦を仲介したカタールとトルコはコメントを出していない。
