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ネパール首都で前首相の政党が集会、Z世代デモ以来の規模

UMLは今年9月、若者を中心とする抗議デモの影響で政治的混乱に直面した。
2025年9月8日/ネパール、首都カトマンズ、政府のSNS禁止令に抗議するデモ隊(AP通信)

ネパールの首都カトマンズ近郊で13日、若者中心の抗議デモで失脚したオリ(Khadga Prasad Oli)前首相が率いる政党・統一共産党(UML)が大規模な集会を開いた。この集会は今年9月のZ世代デモ以来、最大規模の政治イベントとなり、警察は約7万人が参加したと推計している。主催者側は30万人が集まる予定と主張している。

集会は3日間にわたるUMLの党大会の開始を告げるもので、党の勢力回復と今後の政治戦略を示す場と位置付けられている。政治アナリストは「首都で開催された集会として、反汚職デモ以来最大の支持者動員」と評価している。

UMLは今年9月、若者を中心とする抗議デモの影響で政治的混乱に直面した。

抗議は汚職や政治腐敗への不満を背景に発生し、全国的な暴動に発展。これにより少なくとも77人が死亡、2000人以上が負傷し、首相府や最高裁、国会議事堂が焼失するなど大混乱に陥った。混乱の結果、オリ氏は退陣に追い込まれ、暫定政権が発足した。

オリ氏は集会で、「一連の騒動による国会解散は違憲である」と批判した。また、UMLが最高裁に国会の復活を求める訴えを提出していることを明らかにした。「我々はZ世代に反対していると見られているが、それは事実ではない」とオリ氏は述べ、党への支持は依然として強いと強調した。

UMLの書記長も支持者に対し、強い支持基盤があることを集会の規模が示しているとの見方を示した。

この集会は来年3月5日に予定されている総選挙に向けた序章とみられている。大会期間中、UMLの中央委員約2000人が党首選を行う予定で、オリ氏は再選を目指している。

オリ氏はこれまでの政治活動で長年にわたり強い支持層を持つ一方、汚職疑惑や政治手法を巡って批判も根強い。今回の集会は党内の結束を確認すると同時に、広範な国民支持を示す機会となったが、実際の参加人数が予想を下回ったことは党にとっての課題とも受け止められている。

国政はカルキ(Sushila Karki)首相の暫定政権下で運営されており、選挙準備が進む中、UMLの動きはZ世代の勢力や他党との競合関係にどのように影響するかが今後の注目点である。国内政治の不安定さは経済や社会にも影を落としており、総選挙を前に各勢力の動向が一段と注目されている。

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