◎医療専門家は、謎の腹痛を「腸チフス」か「コレラ」と予想している。
北朝鮮の国営メディアは16日、正体不明の腸炎に苦しむ患者が南西部ファンヘナムドヘジュ市で複数報告され、当局が対応に当たっていると報じた。
朝鮮中央通信(KCNA)によると、金正恩(Kim Jong Un)党総書記は関係機関に検疫措置を取るよう命じたという。
またキムは「謎の腹痛」に苦しむ国民を救うために自ら薬を準備し、ファンヘナムドヘジュ市に送った。
医療専門家は、謎の腹痛を「腸チフス」か「コレラ」と予想している。
北朝鮮は先月、「謎の熱病」が蔓延していると発表し、非常事態を宣言した。
キムはこの熱病に効くとされる「命の仙薬」を国民に届け、公衆衛生当局に汗水たらして働くよう命じた。
北朝鮮は感染初期にコロナウイルスの変異株であるオミクロン株を検出したと報告したが、それ以降、コロナには一切触れていない。
KCNAは、「キム党総書記は疑わしきは隔離してその拡大を徹底的に抑制し、疫学的検査と科学的検査によって症例を確認し、できるだけ早くその流行を食い止める必要があると強調した」と伝えている。
ロイター通信は韓国統一省関係者のコメントを引用し、「韓国政府はコレラか腸チフスと疑っている」と報じた。
ファンヘナムドヘジュ市は北朝鮮の主要農業地域のひとつとされ、ここで感染が拡大すれば食料危機をさらに悪化させる可能性がある。
KCNAによると、最新の新規発熱患者は2万6010人。累計患者は450万人を超えた。
当局は4月下旬以降にこの発熱で死亡した患者を73人と報告しているが、世界保健機関(WHO)は数字が操作されている可能性もあると懸念を示している。
北の医療体制、食料危機、コロナワクチン未展開を考えると、オミクロン株、腸チフスまたはコレラの感染拡大は大量死につながる可能性がある。