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北朝鮮・金正恩、固体燃料エンジンと新型戦車を視察=国営メディア


北の軍事開発の動向は今後も国際社会の注目を集め続ける見込みであり、米日韓や国連安全保障理事会などは引き続き対応策の検討を進めるとみられる。
2026年3月15日に北朝鮮メディアが公開した写真、金正恩 党総書記(中央と娘のジュエ(KCNA/AP通信)

北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)党総書記が新型の固体燃料ロケットエンジンの地上試験を監督し、特殊部隊の訓練や新型主力戦車のデモンストレーションを視察した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が29日に報じた。これらの動きは同国が戦略兵器能力と陸軍の近代化を一段と推進していることを示すものとみられる。

KCNAによると、キムは新たに開発された高推力の固体燃料ロケットエンジンの地上テストを監督した。このエンジンは炭素繊維素材を使用し、約2500キロニュートンの推力を発生するとされ、それを核・ミサイル戦力の能力向上に組み込む計画が進められているという。固体燃料エンジンは弾道ミサイルの発射準備時間を大幅に短縮できるため、迅速な対応能力の向上に寄与するとみられている。

キムはこの視察・監督において、こうした技術進歩が北朝鮮軍の「近代的なミサイル兵器体系と全体的な軍事力の強化において極めて重要だ」と強調した。固体燃料技術の導入は、これまで液体燃料を主体としてきた北のミサイル開発にとって大きな転換点と見られており、さらなる信頼性や即応性の改善につながるとの見方がある。

またキムは特殊作戦部隊の訓練拠点も訪れた。報道によると、キムは平時における厳格な訓練の重要性を説き、部隊の再編や戦闘準備態勢の強化を指示したという。これにより、部隊の機動性や戦場対応能力をさらに高める狙いがあるとみられる。

さらに、キムは国産の新型主力戦車のデモンストレーションも視察した。北が公開した映像や報道では、この新戦車に対して「ほぼ全ての対戦車兵器に対抗できる防護システムを有する」との評価が付され、同国の軍事技術が従来の装甲戦力よりも進歩していると強調された。キムは「世界に類を見ない戦車」と主張し、陸軍戦力の強化における戦車の役割を重視する姿勢を示した。

こうした軍事開発の強化は北が現在推進している国防の重点を反映したものと受け止められている。北は近年、固体燃料技術の開発や戦略兵器能力の拡充を明確な政策目標として掲げており、これに沿ってミサイルや関連技術の実験を繰り返してきた。固体燃料エンジンの開発は、発射準備時間の短縮による即応性の向上だけでなく、固定発射台に依存しない移動式発射システムにも適していることから、戦略的抑止力の向上にも寄与するとされる。

外部の専門家は北のこうした動きが地域の安全保障環境に新たな緊張をもたらす可能性を指摘している。特に米国や韓国、日本など周辺国は北のミサイル能力の向上に強い警戒感を抱いており、国際社会はこれを安全保障上の重要な課題として扱っている。軍事専門家は北が固体燃料ミサイル技術を実戦配備する段階に移行すれば、現存する監視・防衛体制にも大きな影響を与える可能性があると分析している。

また、北が戦車などの地上戦力の強化にも力を入れていることは、同国が従来の特殊戦術ドクトリンや陸上戦戦略の見直しを進めていることを暗示するものだとの見方もある。最新の装甲戦力の導入は地上戦における機動力と防御力を高めると同時に、将来的に徴兵制を含む総力戦体制の維持・強化にもつながると指摘されている。

北の軍事開発の動向は今後も国際社会の注目を集め続ける見込みであり、米日韓や国連安全保障理事会などは引き続き対応策の検討を進めるとみられる。

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