◎NZ国防軍はNH-90軍用ヘリコプターで対象エリアの住民50人以上を避難所まで移送し、現地の避難活動を支援していた男性隊員は住民の飼い犬を救助した。
5月31日、ニュージーランド南東部カンタベリー地域で広範囲にわたる洪水が発生し、少なくとも数百人が避難した。
現地メディアによると、一部の地域では先週末から31日にかけての雨量が400mmを超えたため、州当局は非常事態を宣言したという。政府の予報官は、「大雨は31日の夕方まで続く可能性が高く、対象地域の住民は当局の指示に従い、身を守ってほしい」と述べた。
NZ国防軍はNH-90軍用ヘリコプターで対象エリアの住民50人以上を避難所まで移送し、現地の避難活動を支援していた男性隊員は住民の飼い犬を救助した。
国防軍は31日の声明で、「ヘリコプター部隊は濁流に飲み込まれた男性を無事引き上げ、別のチームは車の屋根の上で助けを待っていた老夫婦を救出した」と述べた。現地メディアによると、ヘリに引き上げられた男性は樹木にしがみついて助けを待っていたが、ヘリ部隊の到着直前に流されてしまったという。
陸軍のジェイク・ファーバー将校は記者団に対し、「部隊は住民の支援を継続する」と語った。
農場を経営しているポール・アダムス氏は、家畜を安全な場所に移動させていた最中に押し流され、その後、民間のヘリコプターチームに救助された。
アダムス氏は報道機関stuffの取材に対し、「水の壁に吹き飛ばされ、気が付くとアシュバートン川にいた」と述べた。「もうダメだと思いましたが、フェンスと木に引っ掛かり、はい上がることができました。救助隊が来なければ私は死んでいました」
stuffによると、アダムス氏は事故当時ヘッドライトを装着しており、別の農家の住民がライトの光に気づき救援を要請したという。アダムス氏は「家畜250頭のうち約100頭が生き残った」と述べた。
ニュージーランドを訪問中のスコット・モリソン首相(AUS)は記者団の取材に対し、「被災された方々に心からお見舞い申し上げる」と述べた。「オーストラリアは自然災害の恐ろしさをよく知っています。洪水、山火事、サイクロン、今はネズミの疫病に悩まされています。ニュージーランドとオーストラリアはここ数年、様々な困難に耐えてきました...」
アーダーン首相とモリソン首相は31日のサミットで中国との貿易問題、インド・太平洋の安全保障、コロナウイルス関連の問題などについて協議した。また両首脳は、2019年のクライストチャーチモスク襲撃事件で51人を虐殺したオーストラリア人のブレントン・タラント受刑者は、ニュージランドで仮釈放なしの終身刑に服することを示唆した。
アーダーン首相は31日遅くの記者会見で、「最優先事項は住民の命を守ること」と述べた。「住民を保護したうえで、交通網の復旧に向けた作業を開始する予定です...」