ネパール総選挙、3月5日投開票、新興政党vs支配階級
ネパールの人口は約3000万人、中国とインドに挟まれた小国で、政治の不安定さが長年の課題となってきた。
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ネパールで3月5日、若者を中心とする抗議デモによって前政権が崩壊して以来初めての総選挙が行われる。この選挙は反汚職や雇用創出、政治の刷新を求める「Z世代主導の抗議デモ」が2025年9月に全国で広がり、少なくとも77人が死亡、オリ(Khadga Prasad Oli)前首相が辞任に追い込まれた後に行われるものである。
ネパールの人口は約3000万人、中国とインドに挟まれた小国で、政治の不安定さが長年の課題となってきた。1990年以降、32回の政権交代を経験し、国の基盤である農業中心経済は停滞、多くの国民が労働の機会を求めて国外に働きに出ている。
選挙では、有権者約1900万人が275人の下院議員を選ぶ。うち165議席は小選挙区制で直接選出、残り110議席は比例代表制で配分される。昨年の抗議デモを契機に約100万人の新規有権者が登録され、その多くが若年層であるとみられている。彼らは従来の政治体制に対する不満と新たな政治文化の実現を強く求めている。
選挙戦は旧来の政治勢力と新興勢力の対立が焦点となっている。伝統的な与党である中道系のネパール会議派や共産党(統一マルクス・レーニン主義、UML)は長年ネパール政治を支配してきた。これに対して、急進的な変革を訴える新興政党「国民独立党(RSP)」が勢いを増している。
RSPの首相候補として注目されているのは、35歳の元ラッパーでカトマンズ市長を務めたバレンドラ・シャー(Balendra Shah)氏である。シャー氏は若者を中心に支持を集め、既存の支配階級に挑戦する象徴的存在となっている。一方、共産党のオリ氏やネパール会議派といった伝統的な政治家も引き続き主要候補として競合している。
今回の選挙は単なる政権交代を超え、若年層が政治プロセスに積極的に関与するかどうかを問う重要な試金石と位置付けられている。特に2025年の抗議は腐敗や不平等、若年失業といった長年の社会的課題を背景に発生し、国民の政治的不満を一気に噴出させたものと評価されている。
選挙を前に、暫定政権のカルキ(Sushila Karki)首相は国民に対し、投票参加を呼びかけ、平和的な選挙実施の重要性を強調している。また治安当局は選挙期間中の秩序維持のために厳戒態勢を敷いている。
国際社会はこの選挙をネパールの民主主義と政治安定性の回復の機会と見なし注目している。特に隣国インドと中国はネパールの政治的帰趨を左右する重要な外交的関与先として静観している。選挙結果は政府形成だけでなく、世代交代と全国的な改革への期待がどこまで支持されるかを示す指標となる見込みである。
