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ネパールが調理用ガスの配給制導入へ、買い占め防止、中東情勢悪化受け


ネパール国内ではこの数週間、ガス供給に関する混乱が報じられていた。
2026年3月12日/ネパール、首都カトマンズ、料理用ガス(液化石油ガス、LPG)を求める人々の列(ロイター通信)

ネパール政府は12日、調理用ガス(液化石油ガス、LPG)の不足に対する国民のパニック的な買い占めを受けて、調理用ガスの配給制限を実施すると発表した。国営ネパール石油公社(NOC)の幹部は供給不足の懸念が社会不安を招いているとして、ガス消費の抑制と公平な分配を図るための措置であると説明している。

NOCは12日、国内の調理ガス供給を長持ちさせることを目的に、消費者が空になったLPGシリンダーを充填する際には通常の全量ではなく「半分」のみ充填することを4月初めから開始すると明らかにした。この配給制限は国民の不安を和らげ、ガスの買い占め行動を抑止する効果が期待されるとしている。

この措置は中東地域で続く国際的な緊張、とりわけ米イスラエルとイランとの紛争が海上輸送に影響を与えていることに端を発している。ホルムズ海峡を通る原油やガスなどの輸送が事実上停止状態となり、エネルギー価格の上昇や輸送コストの増大を招いている。このため、中東に依存する燃料市場全体に供給への懸念が広がり、ネパールにも影響が及んでいる。

カルキ(Sushila Karki)暫定首相は現時点でガスの供給自体に問題はなく、輸入は通常通り維持されていると強調している。ネパールは調理用ガスをほぼ全量インドから輸入し、月間約4万5000本のLPGシリンダーを消費している。NOCは輸入と国内供給のフローに混乱はなく、需要に応じた供給が行われていると強調した。

それにもかかわらず、全国各地のガス販売所には空のシリンダーを持った消費者が長い列を作るなど、パニック買いの様相が見られ、実際の供給状況とは別に消費者心理が供給不安を煽っている。こうした状況を受け、NOCは配給制限を通じて「不必要な買い占め」を防ぎ、ガスの安定的な利用を確保する狙いだとしている。

ネパール国内ではこの数週間、ガス供給に関する混乱が報じられていた。地元メディアによると、NOCは消費者に対し必要以上のガス購入やシリンダーの過剰保管を避けるよう呼びかけるとともに、電気利用の促進などガス以外の代替エネルギーの活用を求めている。政府もガスの供給量に問題はないとの声明を繰り返しているものの、消費者の不安は根強く、販売所での混乱や長蛇の列が続いている。

また、インド側でも料理用ガス供給への懸念が高まっている。モディ政権は消費者に対してパニック買いを控えるよう呼びかけると共に、産業向け供給を抑えて家庭用ガスの確保を図る措置を取った。これらの動きは、国際的なエネルギー供給網が地政学的リスクの影響を受けやすい現状を反映している。

ネパールは燃料の大部分を輸入に依存し、外部要因による価格変動や供給不安が国内経済や生活に直結しやすい構造にある。調理用ガスの安定供給は都市部を中心に重要な生活基盤で、今回の配給制限措置が消費者心理の安定化と実需への対応にどのように寄与するかが注目される。

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