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ネパール当局、汚職の疑いで元閣僚ら55人起訴へ、空港建設めぐる不正

同委員会は8日に起訴状を提出。2012年の入札額約1億6960万ドルだった契約額が、関係者の共謀により不正に水増しされ、最終的に約2億4400万ドルにまで跳ね上がった。
2025年4月20日/ネパール、中部ポカラの国際空港(AP通信)

ネパールの汚職調査委員会がポカラ空港建設をめぐる汚職の疑いで、過去の閣僚、政府高官ら計55人と、建設を受託した中国企業への起訴状を裁判所に提出した。現地メディアが9日に報じた。

それによると、同委員会は8日に起訴状を提出。2012年の入札額約1億6960万ドルだった契約額が、関係者の共謀により不正に水増しされ、最終的に約2億4400万ドルにまで跳ね上がった。つまり、約7400万ドル分が過大に上乗せされたとみられる。

この過大請求はネパールで公的調達に絡む汚職案件としては過去最大級とされ、国家予算・公共事業として重大な不正と位置づけられている。

起訴対象には観光・財務・運輸関係の元閣僚、元事務局長、さらには技術評価を担った元大学教員など多岐にわたる。また、受託企業側からも責任者である幹部2人が名指しされた。

起訴状は関係者らが「故意かつ悪意をもって」承認された予算を改ざんし、技術評価報告を法令に反してでっち上げたと記す。具体的には、公共調達法や航空法などに違反しながら、過大な契約額を認めたという。

また、契約内容について虚偽報告や過剰な金額請求、必要性の乏しい備品・サービスの追加など、不正な利益供与の構造があったとされる。結果として、国家財政に不当な支出を強いたと判断された。

ネパールでは2025年9月、若者らによる大規模な反汚職デモが発生し、政府が崩壊する事態になった。社会の汚職に対する不満が高まり、透明性・説明責任を求める声が強まっていた。

今回の起訴はその抗議運動の成果と捉えられ、公共事業における汚職の根絶や制度改革への大きな一歩とみなされている。汚職調査委がトップ層にまで手を伸ばした点が注目される。

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