マレーシア首相、2027年度予算案を議会に提出、最低賃金引き上げと減税で家計支援
政府は低所得層向け現金給付に160億リンギを充てるほか、初めて住宅を購入する人や中小企業への支援も拡充する方針だ。
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マレーシアのアンワル(Anwar Ibrahim)首相は9日、2027年度予算案を議会に提出した。歳出総額は4598億リンギ(約17.8兆円)で、2026年度の予算4441億リンギから3.6%増加する。物価高への対応と家計所得の底上げを目指し、最低賃金の引き上げや所得税控除の拡大、低所得層への現金給付などを盛り込んだ。総選挙の前倒しも取り沙汰される中、経済成長の恩恵を国民に広げる姿勢を示した。
最低賃金は2027年6月に月額1700リンギから2000リンギ(約7万7000円)へ引き上げる。個人所得税の控除額も年間9000リンギから1万2000リンギに拡大する。控除額の改定は2010年以来となる。
政府は低所得層向け現金給付に160億リンギを充てるほか、初めて住宅を購入する人や中小企業への支援も拡充する方針だ。アンワル氏は議会演説で、経済規模の拡大だけでなく、家庭が貯蓄を増やし、労働者が適切な賃金を得て、中小企業が成長できる環境が重要だと訴えた。
マレーシア経済は人工知能(AI)関連需要の拡大を背景に、半導体や電子機器などの輸出が好調に推移している。2026年上半期の実質GDPは前年同期比5.7%増となった。政府は2026年の成長率見通しを4.8~5.3%の上限に近い水準へ引き上げ、2027年については4.2~5.2%の成長を予測する。一方、2027年のインフレ率は1.8~2.8%と見込まれ、エネルギーや食料などの価格上昇が家計を圧迫する可能性がある。
財政面では、歳入を前年比4.7%増の3808億リンギと見込む。国営石油会社ペトロナス(PETRONAS)からの配当収入は320億リンギを予定する。開発支出は830億リンギ、行政運営などの経常支出は3768億リンギとなる。エネルギー価格の上昇で補助金負担が膨らみ、2026年の財政赤字目標はGDP比3.6%へ修正されたが、2027年には3.3%への縮小を目指す。
次の総選挙は2028年2月までに実施される予定だが、連立政権内の緊張や地方選挙での後退を背景に、前倒しの可能性が浮上している。今回の予算案は賃上げや減税を通じて生活費負担を軽減する一方、財政健全化も維持することを目指す。政府が成長の成果を家計に還元しながら、補助金や歳出の増加を管理できるかが焦点となる。
