◎イベントを主催する団体の代表のひとり、ダルシャン・パル氏は現地メディアの取材に対し、「マハトマ・ガンディーの記念日(命日)に合わせてハンガーストライキを開始した」と述べた。
◎26日に行われた抗議集会では、数千人の抗議者が警察の許可を得た抗議ルートから外れ、警察官と正面衝突した。警察当局によると、衝突で抗議者1名が死亡、警察官300人以上が負傷し、200人以上が逮捕されたという。
1月30日、政府の農業改革に反対する農民たちは首都ニューデリーで大規模なハンガーストライキを開始し、昨年9月に可決された農業法の廃止を求めた。
イベントを主催する団体の代表のひとり、ダルシャン・パル氏は現地メディアの取材に対し、「マハトマ・ガンディーの記念日(命日)に合わせてハンガーストライキを開始した」と述べた。
現地メディアによると、首都周辺の3つの地点でインターネットサービスが停止されたという。
何万もの農民が1カ月以上首都の郊外で野営し、ナレンドラ・モディ首相に新しい農業法の廃止を求めている。
26日に行われた抗議集会では、数千人の抗議者が警察の許可を得た抗議ルートから外れ、警察官と正面衝突した。警察当局によると、衝突で抗議者1名が死亡、警察官300人以上が負傷し、200人以上が逮捕されたという。
内務省は30日の声明で、「農民が集まっている地区のインターネットサービスを31日の23時まで停止した」と発表した。
ロイター通信によると、農民たちはインターネットの停止に憤慨しているという。ある農民は取材に対し、「政府はパニックを引き起こそうとしている」と主張し、別の農民は、「モディは都合の悪い情報を操作している。インドの民主主義は死んだ」と述べた。
政府は、農民たちが暴力的な抗議の決行をソーシャルメディアで呼びかけると警戒し、手を打った。
一方、警察当局は29日の記者会見で、「身元不明の男性グループが野営している農民に近づき、石を投げつけ、小競り合いに発展した」と述べた。
当局者によると、男性グループは農民たちに石を投げつけ、テントを破壊したという。攻撃を受けた農民のひとりは現地メディアの取材に対し、「彼らはニューデリーの平和を乱すな、地元の経済に損害を与えるなと言った」と述べた。
モディ首相と政権幹部は、新しい法律はインドの農業を近代化するために必要と主張している。なお、法案通過前に行われた農業組合と政府の交渉は物別れに終わった。
昨年の11月から始まった抗議行動は概ね平和的だったが、26日の暴動で事態は一変した。
警察当局は負傷した農民の数を明かしていないが、現地メディアによると、警察官は催涙ガス弾を撃ち込み、警棒で農民を殴打したという。
農民に対する風当たりは暴動以来急速に強まり、ニューデリーの市民、警察、身元不明のグループが各地で「反農民」「反抗議」を呼びかけ、緊張が高まっている。
29日に野営中の農民を急襲したグループは、「犯罪者たちは神聖なインド共和国記念日(26日)に国旗を侮辱した」と述べた。
一方、抗議を主催する団体は、「26日に暴徒化した者たちは、モディ政権と関りの深いヒンドゥー民族主義者で構成されていた」と主張している。
モディ首相は2014年の就任以来、農民の抗議行動に悩まされ続けてきた。
農業はインドの経済を担う産業の柱であり、それをまとめる組合は強い影響力を持つ団体のひとつである。
26日の暴動を受け、農業法に反対する野党16党がラム・ナート・コビンド大統領の議会演説をボイコットした。
一方、政府は26日の暴動を扇動したジャーナリスト、活動家、野党関係者を非難し、扇動罪で起訴すると発表した。
ハンガーストライキに参加した主催者のひとり、スフデフ・シン氏はAP通信の取材に対し、「私たちは戻らないことに決めました。何も変わらなければ、私たちはここで死ぬでしょう」と述べた。
新しい農業法
・農産物の販売、価格、保管に関する規則を緩和する。
・農民たちは新しい法律が数十年前に設定されたルール(価格保障など)を脅かし、交渉力を弱め、小規模農家は大企業に押しつぶされると主張している。
・モディ首相はインドの農業を守ると訴えてきたが、農業改革は「死刑執行」と呼ばれ、脆弱な小規模農家の怒りを引き起こした。
・ほとんどの経済学者と専門家はインドの農業には改革が必要だと主張している。
・一部の専門家は、「法律を可決する前に団体に相談しなかった結果、混乱を招いた」と指摘した。