◎市内で陽性診断を受けた症状のある患者は病院、無症状者は隔離施設に入る必要があり、自宅待機は認められていない。
2022年2月23日/香港のカイタッククルーズターミナル、隔離施設の建設進む(Magnum Chan/AP通信)

香港の一部の住民はコロナウイルスの感染拡大と「ゼロコロナ政策」に固執する政府に腹を立てており、ソーシャルメディアにも政策変更を訴える投稿が多数寄せられている。

市内の学校はオンライン授業に移行し、校舎をPCR検査、隔離、ワクチン接種施設として利用するために夏休みの前倒しが決まった。また政府は、3月に全市民750万人を3回検査する計画を進めている。

市内で陽性診断を受けた症状のある患者は病院、無症状者は隔離施設に入る必要があり、自宅待機は認められていない。隔離期間は最低14日間。

AP通信の取材に応じたタクシー運転手は、「政府は世界中でコロナと共存する準備が進んでいることを知らない」と述べた。「まあ、知らないのではなく、中国の指示に従っているだけでしょうけど...」

保健当局によると、市内の病床使用率は90%を超え、隔離施設も満杯だという。中国共産党は本土の建設作業員を現地に派遣し、新しい隔離施設を建設中である。

林鄭 月娥(りんてい げつが)行政長官は22日の記者会見で、ホテル、ホール、屋内競技場、その他の施設を隔離施設に改造すると明らかにしている。

レストランで働く男性スタッフはAP通信に、「医療従事者への支援を加速させるべき」と訴えた。「病院は患者の波に圧倒されています。無症状者の自宅待機を認め、病院の負担を軽減させるべきだと思います...」

市内の新規陽性は先週初めて5,000件を超え、今週初めには7,000件を突破し、23日は8,674件だった。政府の専門家チームは24日、「オミクロン株は市内の過密地域で蔓延している」と述べ、市民に検査を受けるよう促した。

Our World in Dataによると、市内で2回接種を終えた人は2月20日時点で人口の約68%、少なくとも1回接種した人は78%。

香港に中国本土のようなロックダウンを行う資源と体力はないと考えられているが、住民の間ではその方向に向かっているのではないかという懸念が高まっている。

林鄭 月娥 行政長官は「中央政府から封鎖の指示は受けていない」と述べており、自国の力だけで問題を解決すると信じられている。

行政長官は記者会見の中で、「中央政府は必要な支援を提供してくれるが、一国二制度により、全責任を負っているのは私である」と強調した。

中国共産党の医療顧問のひとりは「高齢者の命を守るためには厳格な措置が必要」と述べている。

中国は香港から入国する個人に3週間以上の隔離を義務付けており、ゼロコロナ政策を緩和すれば、本土との往来はさらに困難になる。

市内の食料品店や公共施設は厳しい制限下で何とか運営している。レストラン、ヘアサロン、宗教施設などは2月10日から閉鎖されている。2世帯以上の個人的な集まりも禁止。

AP通信によると、これらの制限は個人の位置情報をチェックする新しいアプリが導入される24日または25日に強化される可能性があるという。

このアプリは使用者の予防接種記録を管理し、少なくとも1回接種を受けた人、または特定の医療免除を受けた人のみ、食料品店やショッピングモールなどに入ることを許可される。

香港の食料品価格も他国と同じく上昇しており、野菜の高騰が特に顕著と伝えられている。

2022年2月23日/香港の仮設PCR検査センター(Vincent Yu/AP通信)
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